調査の実施背景と目的 本調査は、令和6年度経済産業省委託事業として、持続可能な社会実現に向けた循環経済(サーキュラーエコノミー)の推進における産業界の取り組み状況を分析し、政策支援の効果検証と今後の展開方針を検討することを目的として実施されました。資源循環利用、廃棄物削減、製品設計の最適化等の観点から、業種横断的な調査を行っています。
循環経済への取り組み状況 全国の製造業・サービス業5,600社への調査により、何らかの循環経済施策に取り組む企業は73.8%となり、前年度比21.3ポイントの大幅な増加を記録しました。具体的には、廃棄物削減が最も多く82.7%、次いでリサイクル材料の活用が67.4%、製品の長寿命化設計が54.9%となっています。大企業では94.2%が取り組みを実施している一方、中小企業では61.8%にとどまり、規模による格差が顕著です。
経済効果と環境負荷削減実績 循環経済施策により、参加企業の平均的な廃棄物削減率は前年度比23.7%となり、処理コスト削減効果は総額840億円に達しました。リサイクル材料活用企業では、原材料コストが平均12.4%削減され、製品競争力の向上にも寄与しています。環境負荷削減では、CO2排出量が業界全体で前年度比18.6%減少し、水使用量も14.3%の削減を実現しました。
課題と今後の政策展開 循環経済推進における主な課題として、初期投資負担(69.1%)、技術・ノウハウ不足(57.8%)、消費者の理解促進(43.2%)が挙げられています。これを受けて、循環経済移行促進のための総額600億円規模の新たな投資支援制度創設と、技術開発から実用化まで一貫した支援体制の構築が提言されています。また、国際的な資源循環ネットワーク構築と、循環経済分野での国際標準策定への積極的参画も重要な政策課題として位置づけられています。