8月のCPI上昇率と内訳
ケニア国家統計局(KNBS)は8月29日、2025年8月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比4.5%だったと発表した。これは2024年10月の2.7%から継続的に加速している傾向を示しており、インフレ圧力の高まりを反映している。
主要項目別CPI上昇率:
- 食品・飲料: 8.3%(最高)
- 交通: 4.4%
- アルコール飲料・たばこ: 3.4%
- 衣料・履物: 3.3%
インフレ加速の背景
2024年10月にはCPI上昇率が2.7%まで下がっていたものの、以降はケニア中央銀行の政策金利引き下げの影響もあり、CPI上昇率は加速傾向にある。特に食品・飲料分野での8.3%という高い上昇率が全体のインフレ率を押し上げている要因となっている。
製造業の景況感
ケニアのスタンビック銀行は9月3日、8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を49.4と発表した。これは4カ月連続で景況判断の基準となる50を下回る結果となった。
製造業PMIの詳細分析:
- 8月PMI: 49.4(7月の大幅落ち込みからは回復)
- 景況感: 依然として低調
- 生産量: 新規受注よりも大幅に減少
- 要因: 可処分所得の低迷と厳しい経済状況
同行エコノミストのクリストファー・レジリショ氏は、8月は7月の大幅な落ち込みから回復したものの、景況感は依然として低調だったと分析している。可処分所得の低迷と厳しい経済状況により生産量は新規受注よりも大幅に減少したことが、製造業の低迷を裏付けている。
経済政策への示唆
インフレ率の継続的な上昇と製造業PMIの低迷という相反する経済指標は、ケニア経済の複雑な状況を浮き彫りにしている。中央銀行の政策金利引き下げがインフレ加速に寄与している一方で、製造業の景況感は改善しておらず、金融政策運営の困難さを示している。