第25回仏独合同閣議と経済アジェンダの発表
フランス政府は8月29日、フランス南部のトゥーロンで第25回仏独合同閣議を開催し、エネルギー、貿易と経済安全保障、産業、先端技術、デジタル主権、競争力、単一市場の簡素化の分野でフランスとドイツの協力を深化させる仏独経済アジェンダを公表した。
エマニュエル・マクロン大統領は、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相との会談で、欧州の競争力強化と生産性向上のために仏独の協力体制を再構築してきたことに触れ、「仏独の合意は欧州にとって必要条件である」と述べた。
エネルギー分野の協力強化
電力市場統合推進:
- ドイツのアンプリオン、フランスのRTEなどの送電事業者による新たな電力相互接続の可能性に関する協議を支援
- 国境を越えたエネルギー市場統合を推進
水素回廊プロジェクト:
- H2Med: イベリア半島からフランスを経由しドイツまでグリーン水素供給網を構築(フランス、スペイン、ポルトガルによるイニシアティブをドイツが支援)
- HY-FEN: フランス南部からドイツ国境付近まで水素供給のインフラを構築
- 両プロジェクトへの長期的なコミットメントと支援を再確認
技術開発協力:
- 欧州の気候目標達成に貢献する全てのネットゼロ、低炭素エネルギー技術を公平に扱う
- 行政・規制上の負担軽減策について共通のアプローチを策定
貿易・経済安全保障の協力
定期協議の制度化:
- 欧州企業が直面する地政学的緊張と貿易上の課題増大を踏まえ、仏独間の協議を年2回実施
- 公平な競争条件や欧州の経済安全保障戦略の効果的な実施に焦点
貿易政策の協調:
- より実践的な欧州の2国間貿易計画を支援
- 野心的かつ公正な貿易協定の交渉・締結による欧州企業の輸出促進
非市場的政策への対応:
- 補助金による過剰生産能力などの問題について、EUの持つあらゆる措置と協調
- 個別事例と全体戦略の両面で検討を深化
産業競争力とデジタル主権
産業支援策:
- 炭素国境調整メカニズム(CBAM)の改定
- エネルギー集約型産業向けの電力料金設定の重要性を確認
デジタル・AI分野の協力:
- 人工知能(AI)分野におけるフランスとドイツの研究・投資エコシステム強化
- 既存の人材誘致プログラムの連携深化
- 11月18日に欧州デジタル主権サミット開催を発表