8月のインフレ率大幅改善
ラオス財務省統計センターが発表した2025年8月の消費者物価指数(CPI)報告書によると、同月のインフレ率(前年同月比)は5.0%、前月比では0.8%となり、物価上昇は落ち着いている。1~8月平均は9.5%で、政府の目標とする安定水準に近づいている。
インフレ加速から緩和への軌跡
ラオスでは2022年6月、新型コロナウイルス禍による現地通貨キープの急落を契機にインフレが加速した。
インフレ率の推移:
- 2023年1月: 40.3%(ピーク)
- 2024年11月: 18.3%
- 2025年5月: 8.3%
- 2025年8月: 5.0%(大幅改善)
その後も20%を超えるインフレ率が続いていたが、徐々に緩和してきた。
公共料金改定の影響
8月報告書によると、「住居・水道・電気・石油」部門は前年同月比15.3%上昇した。主因は水道・電気料金の改定である。
料金上昇率:
- 水道料金: 28.4%上昇
- 電気料金: 93.0%上昇
電気料金改定の詳細:
- 2025年2月から一般住宅向けに使用量に応じて30~80%引き上げ
- 以降も毎月1~2%の段階的な値上げが継続
水道料金改定:
- 首都ビエンチャンで2025年5月から22~41%引き上げ
- さらに四半期ごとに5%の追加値上げを実施
- 2014年以来11年ぶりの改定
政府の政策対応
ラオス政府はこれまで国民生活への影響を考慮して公共料金の引き上げを抑制していたが、供給コストが販売価格を上回る状況が続いたことから改定に踏み切った。
インフレ抑制策:
- 2025年の平均インフレ率を10%未満に抑える方針
- インフレ抑制を最優先課題として位置づけ
金融政策の調整: ラオス中央銀行は短期政策金利を段階的に利下げし、金融緩和による経済成長の促進と物価安定の両立を図っている。
政策金利の推移:
- 2025年3月: 10.5%→10%(0.5%利下げ)
- 2025年6月: 10%→9.5%(0.5%利下げ)
- 2025年8月: 9.5%→9%(0.5%利下げ)
この一連の金融緩和政策により、インフレ抑制と経済成長促進の両立を目指している。