政策金利の現状維持決定
日本銀行は2025年9月19日の金融政策決定会合において、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.5%程度で推移するよう促す方針を賛成7反対2で決定した。反対票を投じた高田委員と田村委員は、物価上振れリスクと中立金利への接近を理由に0.75%への引き上げを主張したが、反対多数で否決された。
経済・物価情勢の現状評価
景気判断:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している 物価動向:消費者物価(除く生鮮食品)は、賃金上昇の販売価格への転嫁継続と米などの食料品価格上昇の影響により、足もとでは2%台後半となっている
企業部門:製造業において関税による下押し影響がみられるが、全体として高水準を維持。設備投資は緩やかな増加傾向
ETF・J-REIT処分方針の決定
日本銀行は保有するETF及びJ-REITの市場売却を全員一致で決定した。売却規模は「金融機関から買入れた株式」の売却と同程度で、市場全体の売買代金に占める売却割合は0.05%程度に設定。
具体的売却ペース:
- ETF:年間3,300億円程度(簿価ベース、時価6,200億円程度)
- J-REIT:年間50億円程度(簿価ベース、時価55億円程度)
先行きの政策展望とリスク要因
海外経済が各国の通商政策等の影響を受けて減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、成長ペースは鈍化すると予想。その後、海外経済の緩やかな成長経路復帰により成長率を高めていく見込み。主要なリスク要因として、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性の高さを挙げ、金融・為替市場への影響について十分な注視が必要としている。