令和6年度「文化行政調査研究」文化芸術の経済的・社会的影響の数値評価に向けた調査研究【概要】

令和6年度「文化行政調査研究」文化芸術の経済的・社会的影響の数値評価に向けた調査研究【概要】

文化庁が実施した令和6年度の文化行政調査研究について、文化芸術の経済的・社会的影響を数値として評価する手法の開発と、日本の文化GDP推計に関する調査結果をまとめたものです。

推計の経緯と発展

この調査研究は2017年度から段階的に発展してきました。2017年度に推計のフィジビリティ調査(実験的調査)とUIS TAGミーティングへの参加から始まり、2018年度にユネスコのガイドラインに基づく推計、2019年度にユネスコとの調整と諸外国の詳細事例調査を実施しました。2020年度から2021年度にかけて文化GDP推計の作成期に入り、2020年度は2016-2018年の3年間、2021年度は2015-2019年の5年間の推計を行いました。2022年度以降は維持・活用期として、2019年と2020年の年間文化GDP推計や日本独自領域の試行推計を継続実施しています。

文化GDP推計の対象範囲

文化GDPの推計対象は、ユネスコが提示するガイドラインを参照して設定されています。コア文化領域として、A:文化遺産/自然遺産、B:パフォーマンス/セレブレーション、C:ビジュアルアーツ/工芸、D:著作・出版/報道、E:オーディオ・ビジュアル/インタラクティブメディア、F:デザイン/クリエイティブサービスの6分野が定められています。関連領域として、G:観光、H:スポーツ/レクリエーションが含まれます。

具体的には、ミュージアム、遺跡・史跡、文化的景観、パフォーミングアーツ、音楽、フェスティバル、美術、写真、工芸、著作・出版・新聞・雑誌、ライブラリー、映画・ビデオ、テレビ・ラジオ、インターネットライブ配信、ビデオゲーム、ファッションデザイン、グラフィックデザイン、インテリアデザイン、建築サービス、チャーター旅行・観光サービス、スポーツ・フィットネス・健康サービスなどが対象となります。

推計方法の詳細

文化GDP推計は3段階の手法で行われます。第1段階では、ユネスコが提示するガイライン(国連が作成している商品分類・産業分類)を参照し、推計対象を設定します。第2段階では、産業分類の再整理と文化商品の生産額推計を行い、ユネスコのガイライン上の文化領域と日本の既存経済統計の産業分類との対応関係を整理し、日本の既存経済統計を利用して文化商品の生産額を推計します。

第3段階では付加価値の推計を実施し、産業連関表を用いて付加価値を推計します。具体的には、産業統計等から抽出した国内生産額に産業連関表から抽出した付加価値率を乗じて付加価値(文化GDP)を算出します。博物館等、営利を目的としない公的サービス部門にかかる推計については、サービスの実施主体(博物館等)の事業費を総生産額とみなし、うち施設活動費等を中間投入とし、その他の支出(人件費等)を文化GDPとみなして推計するインプット法を採用しています。

令和6年度推計の留意点

令和6年度の推計では、同年に公表された「令和2年(2020年)産業連関表(以下、2020年産業連関表)」を用いて推計を行いました。従来は「平成27年(2015年)産業連関表(以下、2015年産業連関表)」を使用していましたが、2020年産業連関表は2015年版と比較して7つの産業部門で「内容変更・分割・統合」の変更がありました。

特に重要な変更として、娯楽作品原本を新たに生産に含める内容変更が行われました。今年度以降は2020年産業連関表に基づいて推計を行うこととなりますが、2020年と2015年の産業連関表は枠組みが異なることから、2019年と2020年の推計結果について単純に経年変化を追うことはできません。そのため、令和6年度の推計における2020年の推計値は「2015年産業連関表基準」に基づくものも参考値として併記されています。

日本の文化GDP規模と構成

2020年の文化GDP推計結果によると、A:文化遺産/自然遺産が2,171億円、B:パフォーマンス/セレブレーションが6,489億円の規模となっています。この調査により、日本の文化芸術分野が経済に与える具体的な影響が数値として明確に示され、政策立案や文化振興施策の根拠として活用できるデータが整備されました。

記事は、文化芸術の経済的価値を客観的に測定する手法が確立され、継続的なモニタリングにより日本の文化政策の効果検証と改善に資する基盤が構築されたと結論づけています。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。