平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決への対応について
概要
平成25年の生活扶助基準改定をめぐる最高裁判決を受け、厚生労働省は謝罪し、専門委員会や国・地方の協議を経て追加給付の方針を決定した。原告・原告以外に一律の追加給付を行い、原告には特別給付金を上乗せする。対象者、対象となる費目・期間、給付額の算定方法を示し、自治体と連携して給付に取り組む。
要点
- 最高裁は、デフレ調整における判断の過程・手続の過誤や欠落を指摘し、改定を違法と判断した。
- 政府は原告と原告以外を区別せず、追加給付を一律に実施する方針を示した。
- 対象者には、算定対象期間に該当する保護基準が算定された人のほか、保護停止中・廃止後の人も含まれる。
- 給付額は、デフレ調整の改定率▲4.78%を高さ調整の改定率▲2.49%に置き換えた差額を基礎に算定する。
概要
令和7年6月27日の最高裁判決は、平成25年から実施された生活扶助基準改定について、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断の過程と手続に過誤、欠落があったと指摘し、違法と判断した。厚生労働省は、追加給付を行う結果となったことを含め、原告と国民に謝罪した。
判決後、社会保障審議会生活保護基準部会に専門委員会が設置され、対応を検討した。同委員会は令和7年11月18日に報告書をまとめた。また、同年10月から国と地方の実務者協議を行い、11月には厚生労働大臣と自治体首長級の協議を開いた。
検討を踏まえ、令和7年11月21日に政府の対応方針を公表した。令和7年度補正予算には追加給付等の経費を計上し、補正予算は同年12月16日に国会で成立した。令和8年2月20日付けの特例告示が公布され、3月1日付けで適用された。
影響
厚生労働省は、最高裁判決を踏まえた保護費等の追加給付について、自治体と連携して取り組むとしている。また、厚生労働省委託事業として「最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付相談センター」を開設している。
詳細
追加給付は生活保護法第8条第2項と第2条の無差別平等原則を踏まえ、原告・原告以外を区別せず、高さ調整▲2.49%の水準で実施する。原告には、紛争の一回的解決の要請を踏まえ、高さ調整を実施しない水準となるよう、保護費に代えて相当分を予算措置による特別給付金で支給する。
対象者は、算定対象期間に保護基準別表第1第1章の基準生活費、または第3章の入院患者日用品費・介護施設入所者基本生活費が算定された人であり、現在保護停止中の人と保護廃止された人も含む。
対象費目は、居宅の基準生活費(第1類・第2類の基準額、地区別冬季加算額、期末一時扶助費)、救護施設等の基準生活費、妊産婦加算、障害者加算、介護施設入所者加算、在宅患者加算、放射線障害者加算、母子加算、入院患者日用品費、介護施設入所者基本生活費、未成年者控除(令和4年4月以降は20歳未満控除)である。いずれも平成25年改定時以降、デフレ調整の影響が及んだものが対象となる。
第1類・第2類の基準額と母子加算のうち在宅者への加算額は、平成30年10月改定で水準が見直されたため、対象期間は平成30年9月まで。地区別冬季加算額は平成27年度改定で見直されたため、平成25年8月から平成27年9月までが対象となる。ただし後者の期間は、第2類および救護施設等の地区別冬季加算額に限る。追加給付額と対象期間は、受給状況や算定されていた費目により異なる。
給付額は、平成25年当時のデフレ調整の改定率▲4.78%を、専門委員会の議論を踏まえた消費実態に基づく高さ調整の改定率▲2.49%に置き換えた差額に相当する額。算定対象期間に適用された保護基準による算定額に、差額相当額を算出する給付率を乗じて算出する。