サイバーセキュリティ相談窓口の相談状況[2026年第3四半期(7月~9月)]を公開しました
概要
独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンターが、2026年7月1日から9月30日までに企業組織から受け付けた相談の統計と事例を紹介する。相談対応は309件で、前四半期から約2.3%増加した。内訳や被害種別に加え、社員のMicrosoftアカウントから大量のメールが送信された事例を取り上げ、OAuth同意攻撃の仕組み、調査方法、予防策、同意画面の確認事項を説明している。
要点
- 対象は企業組織からの相談で、個人の相談は別の窓口が対応する。
- 今四半期の相談対応は309件で、前四半期から約2.3%増。
- 社員のMicrosoftアカウントから大量のメールが送信された事例を掲載。
- ログ確認やアプリ同意設定の見直し、同意画面での確認事項を示す。
概要
独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンターは、サイバーセキュリティ相談窓口で対応した企業組織からの相談について、2026年7月1日から9月30日までの統計と事例を紹介する。従来は個人と企業組織の相談を「情報セキュリティ安心相談窓口」で受けていたが、2025年4月から個人は同窓口、企業組織は新設の「サイバーセキュリティ相談窓口」が受ける体制となった。個人の相談状況は別レポートを参照するよう案内している。
相談件数の推移は、2025年7月~9月162件、同年10月~12月224件、2026年1月~3月283件、同年4月~6月302件、同年7月~10月309件。その他には「社長等をかたる詐欺メール」の29件が含まれる。今四半期のインシデント対応相談は65件で、被害種別の図に示された内訳の合計は56件。
詳細
相談事例では、社員1名のMicrosoftアカウントから大量のメール送信が確認され、第三者による悪用が疑われた。アカウントにはアプリAへのOAuth同意があり、第三者がメールを送信した可能性が高いとされた。侵入経路と情報漏えいの有無は調査中で、相談者は調査ポイントや確認方法を尋ねた。OAuth認証は、アプリに許可した範囲でデータや操作へのアクセスを認める仕組み。攻撃者のアプリに同意するとメールやファイルなどが盗まれる可能性があり、メール送信権限はなりすましメールやスパム送信に悪用され得る。
アプリAが正規採用されたものでなければ、同意が存在した理由も調査するよう勧める。Microsoft Entra IDの監査ログとサインインログで、アプリケーションID、発行元、付与された権限と日時、サインイン元IPアドレスを確認し、同意時点と不審利用の開始時点との関係を調べる。Microsoft 365側ではExchange Onlineの監査ログ、メッセージトレース、メールボックスの転送設定や受信トレイルールを確認する。送信の痕跡だけでなく、受信メールなどのメールボックスデータが取得された可能性も情報漏えいの判断材料とする。
予防策として、Microsoft Entra IDのアプリケーション同意設定を確認し、利用者が任意のアプリに同意できる場合は、検証済み発行元や許可する権限を限定する設定、管理者による同意・承認の運用を検討するよう示す。利用者には同意画面でアプリ名、発行者、要求されたアクセス権を確認するよう案内する。未確認の発行者はシステム管理者に確認し、判断できなければ承認しない。また、OAuth同意攻撃はMicrosoft以外のソリューションにもあるとして、Google Workspaceの関連資料と、その他のベンダーのヘルプを案内する。