三菱総合研究所の齋藤有美氏と野本哲也氏が、CEコマース(循環経済型コマース)が持つ「省資源・長寿命化」を超えた多面的な効果と、日本の産業競争力強化への貢献可能性について分析したものです。
主要なポイント
1. 資源有効利用促進法改正とCEコマースの位置づけ
- 法改正の成立:2025年5月に資源有効利用促進法の改正が成立
- CEコマースの定義:
- ①製品稼働率の向上
- ②製品の長寿命化などに資するサービス提供
- 廃棄物抑制やCE(サーキュラーエコノミー)実現に寄与するビジネス
- 政策的位置づけ:脱炭素化の一手段として資源循環を強化する産業として位置づけ
- 普及の方向性:サービス供給側である企業のCEコマース事業創出・拡張が最優先
2. 業界・製品特性に応じたCEコマースの展開
- リユースに適した製品(電子機器・家電製品など):
- 技術・デザイン更新が急速
- 分解を前提としない設計
- 短サイクル消費材
- モデルチェンジが早く部品規格化が困難
- リマン・リファブに適した製品(建設機械など):
- 高稼働率が求められる(迅速な性能回復が可能)
- 技術の世代交代が遅く基本設計を長く活かせる
- 修理可能設計(分解・洗浄・再組立がしやすい)
- 年中無休の稼働が強いられる資源採掘用ダンプトラックや油圧ショベル
3. CEコマースによる事業価値創出の事例
- 小松製作所のリマンビジネス:
- 約30年にわたりリマン事業を展開
- 世界に11のリマン拠点を保有
- 2023年度のリマン取扱高は2010年度比3.5倍に拡大
- 光栄テクノシステムの修理・再生技術:
- 溶射・溶接・機械加工技術を駆使
- 産業機械・部品の修理・再生・長寿命化を実現
- メーカーのアフターサービスが手薄な製品に特化
- 事業価値:省資源・低コスト、景気変動リスク回避、継続的収益確保
4. 動脈起点のリマン・リファブ推進に向けた官民の打ち手
- 民間企業に求められる施策:
- 製品のモジュラー化による部品交換・再組立の迅速化
- DPP(Digital Product Passport)の活用による部品履歴管理
- RFID技術を活用したIoT回収網の構築
- 稼働保証・成果連動型サービスへのビジネスモデル転換
- 国による公的支援:
- 新品同様の品質を保証する認証規格制度の設置
- リマン・リファブ前提の製品設計に対する技術開発助成
- 技術者育成・承継支援
- DPP活用促進のための情報開示義務などの制度整備
- 市場規模:自動車・航空機業界で数100~1,000億円規模に拡大
本分析は、CEコマースが単なる環境対策ではなく、企業の新たな収益源確保と技術力向上の機会であり、ストック型社会の形成と日本の産業競争力強化に貢献することを示しています。