三菱総合研究所の舟橋龍之介氏と古木二郎氏が、製造業における再生材利用拡大の実現方法について、バージン材との混合による「再生材の価値化」と「公共調達での要件化」を軸に具体的な提案を行ったものです。
主要なポイント
1. 再生材利用の現状と課題
- 貴金属の成功事例:
- 鉱石より廃製品の方が含有率が高い
- 高い市中価格によりリサイクルコストを十分に賄える
- 事業機会として資源回収・リサイクルが拡大
- プラスチック等の課題:
- 貴金属を除く非鉄金属やプラスチックはリサイクルコストが高い
- 市場価値を持たせることが困難
- 製造業のサプライチェーンで利用が進んでいない
- 解決の方向性:企業の自主的な取り組みによる再生材の価値化が必要
2. バージン材混合による再生材の価値化アプローチ
- PP(ポリプロピレン)の事例分析:
- ケミカルリサイクルによる再生PP価格:約600円/kg
- バージンPPの市場価格:約200円/kg(再生PPの約1/3)
- バージンPPに再生PPを20%混合した場合:280円/kgで22.1万tの需要量見込み
- 需要関数の作成:
- アンケート調査による支払意思額と需要量のデータを国内総需要へ拡張
- 支払意思額200円/kgを境に需要量が大幅に増加
- 汎用性の高いPP製品ほど需要量は多いが支払意思額は低い傾向
- 価値化の効果:1製品あたりの再生材量は減少するが、販売数増加が上回り総需要増加
3. 需給拡大の好循環メカニズム
- バイオマス材料の成功事例:
- 調味料ボトルの印刷用バイオマスインク
- 最終製品価格に占める割合が小さいため高価でも受容
- 製品原価に占める再生材の金額割合を下げることがポイント
- 好循環の創出プロセス:
- 初期需要の創出
- 供給スケール拡大によるリサイクルコスト低減
- 再生材の低価格化
- さらなる需要拡大
- 定量的効果:ケミカルリサイクルによる再生PP混合品の価格を40円/kg低減で11.5万tの需要拡大期待
4. 公共調達による初期需要創出と好循環の加速
- 初期需要不足の問題:
- バージン材との混合品でもバージン材単体より高価
- 活用先が初期段階では限定的
- まとまった需要がなければ好循環は加速しない
- 国の関与の必要性:
- 公共調達での積極的な活用が鍵
- 「再生材の価値化」と「公共調達での要件化」の両輪で推進
- まとまった初期需要の創出により需給拡大の好循環を生み出す
- 実現への道筋:製造事業者(動脈産業)と国が一体となった取り組みが重要
本分析は、再生材利用拡大の具体的な方法論を提示し、民間の自主的取り組みと公的支援の組み合わせによる実現可能な道筋を示したものです。