中国砂糖市場の2024年実績と将来展望
農畜産業振興機構(ALIC)が2025年6月27日に発表した中国農業展望報告分析によると、中国の砂糖産業は2024年に大幅な生産増加を記録し、2034年まで安定的な成長が予測されている。
2024年の砂糖需給実績
生産量の大幅増加:
- 糖料作物作付面積: 148万7400ヘクタール(前年比4.6%増)
- 砂糖生産量: 1117万トン(前年比25.4%増、大幅増)
- 甘しゃ糖: 989万2000トン(前年比11.8%増)
- てん菜糖: 127万8000トン(前年比5.4%増)
生産への影響要因:
- サトウキビ: 継続的干ばつで糖度減少も、作付面積・単収増で生産増
- てん菜: 春先低温による立枯病発生で単収減も、作付面積増で生産増
輸入・消費動向:
- 輸入量: 607万トン(前年比14.7%増)、ブラジルが8割以上を占める
- 消費量: 1550万トン(前年比1.0%増)
- 工業消費54.8%(加工食品向け)、家庭消費45.2%
2025年の見通し
生産の微減予測:
- 糖料作物作付面積: 145万8600ヘクタール(前年比1.9%減)
- 砂糖生産量: 1100万トン(前年比1.5%減)
- 主産地広西チワン族自治区での干ばつ懸念
- てん菜はトウモロコシ・大豆との収益性比較で不利
需給バランスの調整:
- 輸入量: 580万トン(前年比4.4%減)、関税割当管理の実施
- 消費量: 1570万トン(前年比1.3%増)、所得増による消費拡大
2034年までの長期予測
持続的な成長基調:
- 糖料作物作付面積: 150万6800ヘクタール(基準期間比3.4%増)
- 砂糖生産量: 1190万トン(基準期間比25.4%増)
- サトウキビ生産補助金政策継続による生産能力向上
消費の安定的拡大:
- 消費量: 1657万トン(基準期間比7.5%増)
- 所得増加と加工食品需要拡大が牽引
- 健康意識向上により増加率は今後10年間で鈍化
輸入依存度の軽減:
- 輸入量: 519万トン(基準期間比7.0%減)
- 国内生産増と消費の小幅増により輸入減少