日本銀行の氷見野良三副総裁が2025年9月2日に行った記者会見の要旨です。
金融政策の現状認識
氷見野副総裁は、日本経済が緩やかな回復基調を維持していることを確認しました。個人消費は雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しており、設備投資も企業収益の改善を受けて増加傾向にあります。輸出は海外経済の回復を背景に増加基調を続けています。
物価動向の評価
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2%程度で推移しており、基調的な物価上昇率も徐々に高まっています。賃金上昇が物価上昇を上回るペースで進んでおり、実質賃金がプラスに転じていることから、賃金と物価の好循環が形成されつつあることを指摘しました。
金融システムの安定性
日本の金融システムは全体として安定性を維持しています。金融機関の自己資本比率は規制水準を十分に上回っており、不良債権比率も低水準にとどまっています。地域金融機関については、人口減少や低金利環境の長期化により収益環境は厳しいものの、経営統合やデジタル化による効率化が進展していることを評価しました。
今後の政策運営
金融政策の正常化プロセスについて、経済・物価・金融情勢を丹念に点検しながら、適切なペースで進めていく方針を改めて示しました。市場との対話を重視し、政策意図の丁寧な説明を続けることの重要性を強調しました。
国際金融情勢への対応
米国の金融政策動向、中国経済の減速懸念、地政学的リスクなど、国際金融市場を取り巻く不確実性が高まっていることに言及し、これらの動向を注視しながら機動的な政策運営を行う必要性を指摘しました。