スリランカの最大都市コロンボで、12カ月ぶりにインフレに転じ、経済の回復傾向が鮮明になってきました。
インフレ率の最新動向
スリランカ・センサス統計局(DCS)が2025年8月29日に発表した主要指標:
2025年8月の消費者物価指数(CCPI)
- 総合インフレ率: 前年同月比1.2%
- 食品部門: 前年同月比2.0%
- 非食品部門: 前年同月比0.8%
- 特記事項: 2024年9月以降続いていたデフレ状態が12カ月ぶりに終了
中央銀行の見通しと政策
インフレ予測
スリランカ中央銀行(CBSL)の金融政策報告書(2025年8月15日発表)による見通し:
- インフレ率は今後徐々に加速
- 政府目標の**5%**に向けて推移
- 目標達成時期:2026年中頃
リスク要因
上振れリスク:
- 地政学的緊張による価格上昇
- 供給制約の影響
- 異常気象による水力発電への影響
- 農業活動への気候変動の影響
下振れリスク:
- 農作物の収穫増による食品価格低下
- 米国の関税引き上げによる需要減退
金融政策の動向
最近の政策金利動向
- 2025年5月: オーバーナイト政策金利(OPR)を8.00%から**7.75%**に引き下げ
- 7月金融政策会合: 政策金利を維持
- 見通し: 2025年第3四半期(7-9月)中に物価上昇に転じるとの見方
経済的意義
コロンボのインフレ転換は、スリランカ経済の正常化を示す重要な指標です。長期のデフレから脱却し、適度なインフレへの移行は、健全な経済成長の兆候として評価されています。
背景情報
- CCPIの基準年:2021年=100
- 金融政策報告書:改正スリランカ中央銀行法27条により年2回の発行義務化
- 報告内容:物価上昇、経済成長見通し、リスク分析
今後は、政府目標の5%インフレ率達成に向けた金融政策運営が注目されます。