経済産業研究所のBBLセミナーにおいて、2032年までに日本をスタートアップのグローバルハブにする方策について議論した講演の議事録です。
フィル・ウィックハム氏による主要な提言では、「想像力」をイノベーションの最も重要な要素として位置づけ、政府の役割を「レーストラック整備」と定義しています。世界基準の規制緩和と才能ある人材の受け入れが重要であると強調されています。日本の若手人材のマインドセットが変化していることが指摘され、東京の優位性として高い生活の質、多数の大企業の存在、技術系移民を惹きつける潜在力が挙げられています。
経済産業省PIVOTプロジェクトでは、人材・技術・設備の流動化、越境学習の推進、知財権集約ビジネスの活性化、研究設備の共用化に焦点を当てた提言がなされています。具体的な施策として、多数の小規模投資による「種をまく」アプローチ、グローバル基準の会計法への移行、大企業によるスタートアップ買収の促進、境界線を意識しない自由な投資環境の構築が提案されています。
課題として、AI・量子コンピューターなど初期投資の高い分野での対応、省庁間の縦割り行政の解消、米国との戦略的連携が挙げられています。
記事は、2032年までに東京を世界有数のスタートアップハブにするためには、イノベーションエコシステムの抜本的改革と国際的な競争力強化が必要であると結論づけています。