米小売企業で関税による価格転嫁が徐々に進行、業績に明暗分かれる

米国の主要小売企業が2025年第2四半期(5~7月期)の決算を発表し、関税引き上げによる価格転嫁の影響が徐々に顕在化していることが明らかになりました。各社は新学期商戦の好調さに支えられながらも、今後の対応策に追われています。

ベストバイ:新学期商戦好調も先行き慎重

家電量販店大手ベストバイが8月28日に発表した決算では、既存店舗の売上高が前年同期比1.6%増と予想外の成長を記録し、3年ぶりのプラス成長となりました。この好調さは以下の要因によるものです:

  • セールイベントを通じた新学期商戦の成功
  • コロナ禍で購入されたパソコン等の買い替えサイクル到来
  • 任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の販売

しかし、同社は商品の大部分を中国から輸入しており、既に一部商品の価格を引き上げたと報告。値上げは「最終手段」としつつ、メーカーとの協力強化や新製品販売への注力により、需要鈍化に対応する方針です。通期の既存店売上見通しは前年比0.1%~1.0%増に据え置かれ、株価は下落しました。

アバクロンビー&フィッチ:予想以上の関税負担

カジュアル衣料品ブランドのアバクロンビー&フィッチ(8月27日発表)は、減益となったものの、傘下の10代向けブランド「ホリスター」が新学期用品需要により、売上高が過去最高の前年同期比19%増を記録しました。

主要生産拠点が東南アジアとインドにある同社は、関税による影響が当初予想を大きく上回っています:

  • 当初予想:5,000万ドルの負担
  • 修正予想:9,000万ドルの負担(1.8倍に拡大)

対策として、生産拠点のシフト、サプライヤーとの関係強化、平均単価の引き上げなどを検討し、利益率維持に努めています。

ファイブ・ビロー:関税政策で競争優位に

大手ディスカウントチェーンのファイブ・ビローは、関税政策によりむしろ恩恵を受けている例外的な存在です。8月27日発表の決算では:

  • 売上高:前年同期比23.7%増の10億2,684万ドル
  • 営業利益:26.2%増の5,236万ドル

この好調の背景には、トランプ政権が中国からの輸入品に対してデミニミス(非関税基準額)ルールの適用を廃止したことがあります。これにより、競合していた中国系EC(TEMUなど)が従来のビジネスモデル維持が困難となり、ファイブ・ビローは相対的に安価な価格を維持できる有利な競争環境を獲得しました。

さらに、ディズニー映画とのコラボレーション商品投入などにより、顧客の価格転嫁への抵抗感を低下させることに成功しています。

今後の展望

米国小売業界では、関税による価格転嫁が避けられない状況となっていますが、その影響は企業によって大きく異なります。中国からの輸入依存度、商品カテゴリー、価格帯、競合環境などの要因により、関税の影響と対応策は多様化しています。

各社は、サプライチェーンの見直し、商品ミックスの最適化、付加価値の向上など、多面的なアプローチで関税影響の緩和を図っており、今後もこうした取り組みの成否が企業業績を左右することになるでしょう。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。

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