イニシアチブの概要
欧州委員会は9月16日、汎欧州運輸ネットワーク(TEN-T)上の大型車用充電インフラ整備を加速する「欧州クリーン輸送回廊イニシアチブ」を提示し、ドイツ、ベルギー、デンマーク、リトアニア、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、スウェーデンの9カ国が支持した。
パイロットケースの詳細
第1弾として、スカンジナビア半島からイタリアのシチリア島、北海沿岸からバルト海周辺国を結ぶ2回廊をパイロットケースに選定。充電ステーションを2回廊合計で236カ所増設し、総計353カ所に拡充する計画だ。
実施方針と政策背景
同イニシアチブは自動車部門に関する産業行動計画で打ち出され、競争力コンパスの競争力政策調整ツールに基づいて実施される。再生可能エネルギー指令による送電網整備関連も含め、許認可の迅速化と投資リスクを軽減する融資の活性化に焦点を当てている。
9カ国閣僚による取り組み宣言
9カ国の運輸・インフラ担当閣僚は閣僚宣言を発表し、2030年を目標に国境を越えたゼロエミッション貨物輸送の円滑化に向けた具体的取り組みを表明。充電インフラ整備のエネルギー関連政策との連動、送電網の柔軟活用、許認可簡素化、バッテリー蓄電システムの活用などを推進する。
市場背景と課題
欧州自動車工業会の発表によると、EUの2025年上半期トラック市場における電動車の割合は前年同期比1.5ポイント増の3.6%にとどまっており、充電インフラ整備の遅れが普及阻害要因となっている現状が明らかになっている。