マレーシアのスランゴール州政府が2025年8月27日、同州を地域の航空宇宙ハブとして紹介するラウンドテーブルを開催し、最新プロジェクトの進捗を発表しました。
航空宇宙産業の急成長
マレーシア航空宇宙産業公社(NAICO)の発表によると、2024年の航空宇宙産業収益は前年比38.7%増の251億リンギ(約8,785億円)と、過去10年間で最大の伸びを記録しました。
分野別内訳:
- MRO(保守・修理・運用): 48.6%
- 製造: 32.2%
- その他: 19.2%
政府は2030年までに以下の目標を設定:
- 航空宇宙産業収益: 552億リンギ(現在の2.2倍)
- 人材育成: 3万2,000人以上
スランゴール・エアロ・パーク(SAP)の開発
政府系投資会社MBIは、KLIAエアロポリスの一環である「スランゴール・エアロ・パーク(SAP)」の進捗を発表しました。
SAPの主要機能:
- 先進的な部品製造
- 統合物流システム
- 研究開発拠点
- 人材育成センター
投資家向けインセンティブ:
- 効率的な承認手続き
- ライセンス料の免除
- 投資税控除
アジア太平洋地域の成長機会
NAICOは、マレーシアのサプライチェーンが米国、欧州、中東と緊密に連携していることを強調。特にアジア太平洋地域では、MRO需要が2034年までに年平均4.7%で拡大する見通しで、マレーシアにとって大きなビジネス機会が生まれると指摘しています。
スランゴール航空宇宙サミット2025
2025年10月にクアラルンプールで「スランゴール航空宇宙サミット2025」が開催されることも明らかになりました。このサミットは:
- ビジネス交流と知見共有の場
- 地場中小企業の振興
- マレーシアをASEANの航空宇宙ハブとして広く認知させることが目的
州政府のコミットメント
アミルディン・シャリ州首相は、スランゴール州が**マレーシアの航空宇宙活動の約70%**を担っていることを踏まえ、2026年発表予定の「第2次スランゴール計画」でも航空宇宙産業を重点分野として位置づけると表明。産業発展に伴う人材需要の高まりに対応するため、関係機関との連携強化を呼びかけました。
マレーシアは、戦略的立地、既存インフラ、政府支援により、ASEAN地域の航空宇宙産業ハブとしての地位確立を着実に進めています。