トランプ米政権が「米国第一」の方針に反する対外援助や国際機関への拠出約50億ドル分を停止すると発表し、国際社会に大きな波紋を広げています。
拠出停止の概要
2025年8月29日の発表による主要内容：
- 総額: 約50億ドル
- 根拠法: 議会予算統制法に基づく手続き
- 実施時期: 即時停止
停止対象の内訳
開発援助関連
- USAID開発援助: 32億ドル
- 民主主義基金: 3億2,200万ドル（USAID・国務省）
- 国際機関拠出: 5億2,100万ドル
平和維持活動関連
- 国連PKO分担金: 3億9,300万ドル
- 平和維持活動: 4億4,500万ドル
主要国際機関への影響
UNESCO（国連教育科学文化機関）
- 拠出停止額: 年間7,500万ドル
- 理由: 反ユダヤ主義を助長したとの指摘
WTO（世界貿易機関）
- 拠出停止額: 2,900万ドル
- 理由: 中国共産党による不公正貿易の助長
- 米国分担率: 11.4％（最大拠出国）
- 滞納の影響: 1年で議長指名資格喪失、3年で非活動加盟国扱い
ILO（国際労働機関）
- 拠出停止額: 1億700万ドル
- 理由: 外国での米国企業利益阻害活動
政策的背景
トランプ政権の動き
- 2025年1月20日: 対外援助の一時停止・検証を指示
- 1月26日: 国務省・USAIDの全援助プログラム停止発表
- 2月: 全国際機関・条約の見直しを国務長官に指示
WTOに対する批判
- USTR年次報告で「実行可能性と持続可能性に疑問」
- 「中国の非市場経済への対処不能」を指摘
- グリアUSTR代表がWTO体制からの脱却を提唱
各方面の反応
WTO事務局長の反応: 「発表は懸念しているが、USTRと協議中」とし、確定的な発表は未受領と説明
今後の影響と展望
- 米国内でWTO基軸の自由貿易体制変革への認識が党派を超えて形成
- 国際機関への拠出停止により、米国の国際的影響力に変化の可能性
- 対外援助に依存する途上国への深刻な影響懸念
- 米国とWTO、その他国際機関との関係性の再構築が注目される
※WTO脱退には別途書面通知が必要で、今回の発表は脱退通知ではない