米国のデミニミスルール適用停止により、日本を含む30カ国以上が米国向け郵便物の取り扱いを一時停止する事態となっています。
デミニミスルール適用停止の概要
2025年8月29日午前0時1分（米国東部時間）以降、米国に通関する貨物に対するデミニミスルール適用が停止されました。これにより、従来は非課税対象だった800ドル以下の少額貨物にも関税が課されることとなりました。
猶予期間と実務上の課題
- 猶予期間: 2026年2月末まで
- 猶予内容: 国際郵便ネットワーク利用のEMSで従量税・従価税の選択可能
- 問題点: 運送事業者や郵便事業体の実施手続きが不明確で運用が極めて困難
各国の対応状況
日本郵便の措置（2025年8月27日開始）
米国宛て郵便物の引き受けを一時停止：
- 対象品目:
- 個人間贈答品で内容品価格が100ドル超のもの
- 消費目的の販売品
- 対象サービス:
- 小形包装物
- 小包
- EMS（物品）
影響を受ける事業者
越境EC事業者への影響が特に深刻：
- 日本から米国への配送手段が国際宅配便（クーリエ）に限定
- コスト増加と配送オプションの減少
国際宅配便利用時の要件
米国への輸入通関で必要となる手続き：
- **電子申請システム（ACE）**を利用した輸入申告書類の提出
- 適切なHTSコードの選定
- 原産国の確認
- 一般貨物輸入と同様のペーパーワーク
今後の見通し
30カ国以上が郵便物取り扱いを停止しており、米国の越境EC市場に大きな影響を与えています。猶予期間中の運用方法が明確化されない限り、この状況は継続する可能性が高く、国際物流の再編が迫られています。
事業者は代替配送手段の確保と、増加するコストへの対応策を早急に検討する必要があります。