金融安定理事会による「気候変動に伴う金融リスクに対処するためのFSBロードマップ：2025年アップデート」の公表について

日本銀行の最新発表によると、金融安定理事会（FSB）は2025年7月14日、「気候変動に伴う金融リスクに対処するためのFSBロードマップ：2025年アップデート」を公表した。本文書は、2021年7月に公表されたロードマップの進捗状況を報告し、FSBの中期的アプローチの概要を示している。主要な進展として、企業レベルの開示では、2023年に国際サステナビリティ基準審議会（ISSB）が公表した基準の採用が進み、2024年11月時点で世界GDPの約57％を占める国・地域が何らかの形でISSB基準の採用に向けた措置を講じている。データ面では、気候関連金融リスクの分析を支援するため、包括的で一貫性のある比較可能なデータの提供を目指す様々な取り組みが開始された。脆弱性分析では、気候ショックが金融システムに影響を与える可能性のある経路の理解が進み、将来を見据えた指標の検討が行われている。規制・監督実務では、バーゼル銀行監督委員会（BCBS）が2025年6月に気候関連金融リスクの開示に関する自主的枠組みを公表するなど、各セクターで気候関連リスクを適切に考慮するための指導が開発されている。課題として、包括的で信頼性が高く、一貫性のある気候関連金融リスク情報の不足が挙げられ、特に新興市場・発展途上国（EMDEs）や中小企業にとっては、規制の不確実性、データ不足、報告コスト、知識格差などが障壁となっている。FSBは今後も年次作業計画の議論の一環として、物理的リスクや保険カバレッジのギャップなどのトピックの分析が金融安定リスクの理解にどのように貢献できるかを評価し続ける。これらの取り組みは、気候変動が金融システムに与える潜在的影響への対処において、国際的な協調と一貫性のあるアプローチの重要性を示している。