日本銀行ETF等処分計画の決定
日本銀行は2025年9月金融政策決定会合において、保有するETF(上場投資信託)及びJ-REIT(不動産投資信託)の処分に関する基本方針と具体的な売却計画を決定した。この決定は、金融システム安定確保のために買入れた株式の処分完了(2025年7月)の経験を踏まえたものである。
処分対象資産と売却規模
年間売却ペース:
- ETF:簿価3,300億円程度(時価6,200億円程度)
- J-REIT:簿価50億円程度(時価55億円程度)
- 参考(処分完了済み)株式:簿価1,500億円程度(時価6,200億円程度)
各資産の市場全体の売買代金に占める売却割合は0.05%程度に設定され、時期の分散に配慮しつつ、各銘柄の保有割合におおむね比例的な形で売却される。
処分の基本方針と市場配慮措置
3つの基本原則:
- 市場の情勢を勘案し、適正な対価による処分
- 日本銀行の損失発生を極力回避
- 市場に攪乱的な影響を与えることを極力回避
市場安定への配慮仕組みとして、売却ペースの下で市場の状況に応じた売却額の一時的な調整・停止が可能とされ、基本方針や売却経験を踏まえた金融政策決定会合での売却ペース見直しも想定されている。
実施スケジュールと制度設計
所要の準備が整い次第、処分を開始する予定とされており、「金融機関から買入れた株式」の売却と同程度の規模での市場売却が計画されている。この処分計画は、日本銀行の保有株式資産の段階的縮減と金融政策の正常化プロセスの一環として位置づけられる。