人事院は、2025年4月に採用された国家公務員採用総合職試験等の合格者782人を対象にアンケート調査を実施し、2025年7月29日にその結果を公表しました。有効回答は767人(回収率98.1%)と非常に高い回答率を記録しており、新規採用職員の就業意識と志望動機の詳細な分析が行われています。
最も注目すべき結果として、国家公務員への志望動機に「公共のために仕事ができる」を挙げる者が過去最多となりました。具体的な志望理由の上位3項目は「公共のために仕事ができる」「仕事にやりがいがある」「スケールの大きい仕事ができる」となっており、社会的意義や影響力の大きさが公務の主要な魅力として認識されていることが明確になっています。
国家公務員を就職先として意識した時期について、総合職試験(大卒程度)合格者では「高校生」と「大学3年生前半」が上位を占める一方、総合職試験(院卒者)合格者では約半数が「大学院進学後」に進路として国家公務員を意識したと回答しています。これは学歴段階による進路選択のタイミングの違いを示す重要な知見です。
国家公務員を意識したきっかけとしては、「職場体験・インターンシップ」と「国家公務員による講演」が回答の上位を占めており、実体験や経験談など具体的な業務情報に触れることの重要性が浮き彫りになりました。このことから、効果的な人材確保には体験型の広報活動が不可欠であることが示されています。
民間企業との競合状況では、全体の44.3%が民間企業からも内々定・内定を受けており、競合先企業の規模は「1,000人以上」が8割強を占めています。主な業種は「コンサルタント・シンクタンク」「金融」「メーカー」となっており、国家公務員の人材確保において大企業が主要な競合相手であることが確認されています。
国際的な経験に対する関心も高く、全体の81%が留学・海外勤務などの国際的経験について「積極的に希望する」または「機会があれば希望する」と回答しました。これは採用者の多くが国際業務への強い関心を有していることを示しており、グローバル化に対応した人材確保戦略の重要性を裏付けています。
人事院は今回の調査結果を、公務ブランディング府省横断チームにおける公務の魅力の整理や発信方法の検討に活用していく方針を示しており、より効果的な人材確保施策の展開が期待されています。