気候ファイナンス研究の最新動向について報告したものです。この記事は日本銀行金融研究所が2024年11月8日に開催した「気候ファイナンス研究の進展」と題するファイナンス・ワークショップの模様を紹介したもので、金融研究第44巻第3号(2025年7月発行)に掲載されています。ワークショップは対面・オンラインのハイブリッド形式で実施され、気候変動と金融市場の関係における研究の最前線について活発な議論が行われました。
ワークショップでは3つの研究報告が行われ、それぞれに指定討論者が配置されて専門的な検討が行われました。参加者、報告者、指定討論者の間で活発な意見交換が展開され、気候ファイナンス分野における理論と実践の両面から多角的な議論が繰り広げられました。気候ファイナンスは、気候変動対策に必要な資金調達や投資判断、リスク評価などを扱う重要な分野として、近年急速に発展している領域です。
研究内容としては、気候変動が金融システムに与える影響、グリーンファイナンスの効果測定、ESG投資の実証分析、中央銀行による気候関連金融政策、金融機関の気候リスク管理手法などの最新研究成果が報告されたと考えられます。これらの研究は、パリ協定の目標達成に向けた金融セクターの役割や、カーボンニュートラル実現に必要な投資規模の分析、気候変動による金融安定性への影響評価などの重要なテーマを扱っています。
日本銀行金融研究所は、金融・経済に関する理論的・実証的研究を推進する機関として、気候ファイナンス分野においても最新の国内外の研究動向を把握し、政策的含意を検討する役割を担っています。このワークショップは、学界、金融界、政策当局者が一堂に会して知見を共有し、今後の研究方向性や政策課題について議論する貴重な場として位置づけられています。
本稿はワークショップの詳細な模様を順次紹介しており、関連刊行物として日本銀行金融研究所のディスカッションペーパーシリーズ(DPS-J)も併せて公開されています。記事は、気候ファイナンス研究の進展が持続可能な経済社会の実現と金融システムの安定性確保において重要な意義を持ち、今後も継続的な研究と政策対話が必要であると結論づけています。