小売売上高の堅調な伸び
米国商務省の速報（9月16日付）によると、8月の小売売上高（季節調整値）は前月比0.6％増の7,320億ドルとなり、3カ月連続の増加を記録した。この結果はブルームバーグの市場予想（0.2％増）を大きく上回る好調な数値となった。なお、7月の数値も速報値の0.5％増から0.6％増に上方修正された。
業種別の詳細分析
牽引業種: 13業種のうち9業種で増加し、幅広い分野での成長を示した。無店舗小売りが前月比2.0％増の1,298億ドルで最大の押し上げ要因となった。
新学期需要の影響: 衣料（前年同月比8.3％増）、スポーツ・娯楽品・書籍（同4.7％増）が例年より高い伸びを示し、価格上昇と新学期需要増が反映された。
その他の動向: 自動車・同部品は前月の1.7％増から0.5％増に鈍化。フードサービスは前月の0.1％減から0.7％増に転じた。総合小売りとヘルスケアはいずれも0.1％減となった。
インフレの影響と実質成長率
小売り統計はインフレ調整されておらず、8月の消費者物価指数では自動車部品、衣類、ガソリン、食料品などを中心に物価上昇基調が続いているため、実質の伸び率はより小幅にとどまった可能性がある。
消費者心理と所得格差
専門家分析: オックスフォード・エコノミクスのマイケル・ピアース氏は「支出の力強さの多くは高所得世帯に集中している」と指摘し、「低所得層の消費支出は労働市場の弱体化と実質可処分所得を圧迫する政策ミックスの圧力にさらされている」と分析した。
消費者信頼感: コンファレンスボードの8月消費者信頼感指数は97.4（前月98.7）と1.3ポイント減少。期待指数は74.8で景気後退を示唆する基準値80を7カ月連続で下回り、雇用機会への悲観的見方が8カ月連続で悪化している。