58億円の資金提供契約発表
ルーマニアのアレクサンドル・ナザレ財務相は8月25日、自動車業界の2社に対し、総額1億7,120万レイ(約58億2,100万円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約34円)の資金提供契約を発表した。これらは政府決定第300/2024号に基づく地域開発促進のための国家補助金制度の一環として実施される。
支援対象企業:
- DRMドラクスルマイヤー: ドイツの自動車部品大手ドラクスルマイヤーグループのルーマニア子会社
- ダチア: ルノー傘下の地場自動車メーカー
DRMドラクスルマイヤーのEV部品拡大計画
投資概要:
- 総投資額: 2億9,720万レイ
- 国家補助金: 1億3,370万レイ
- 目的: ルーマニア北西部のサトゥ・マーレ工場における電気自動車(EV)用ワイヤーハーネスの生産能力拡大
雇用・税収効果:
- 雇用創出: 2030年までに400人以上
- 税収貢献: 地域および国家への税収貢献は2億1,100万レイと試算
ダチアの車両塗装工程近代化
投資概要:
- 総投資額: 8,500万レイ
- 国家補助金: 3,750万レイ
- 目的: 車両塗装工程の近代化プロジェクト
税収効果:
- 地域貢献: 推定1,870万レイの税収貢献を見込み
国家補助金制度の詳細
制度の概要:
- 対象: ルーマニアで初期投資を行う製造業
- 支援範囲: 5,000万レイから5億レイまでの投資
- 総予算: 22億5,000万レイ
条件・期限:
- 投資は開始後3年以内に完了
- 新規の有形・無形資産を使用
- 2026年末までに資金提供契約を締結
- 支払いは2025年から2032年にかけて実施
実績:
- 締結契約数: これまでに10件の契約
- 総投資額: 25億9,000万レイ
- 承認済み補助金額: 11億4,600万レイ
政府の戦略的目標
政府は、これらの資金によりルーマニア経済を支援し、競争力強化と長期的な雇用創出を促進する方針を掲げている。特にEV関連産業の育成と既存自動車産業の近代化を通じて、ルーマニアの製造業基盤を強化する戦略的意図が明確に示されている。