調査目的と背景 経済産業省がロボット技術の社会実装を促進し、労働力不足や生産性向上等の社会課題解決に貢献するため、ロボット産業の現状分析と普及促進策を検討した調査報告書です。産業用ロボット、サービスロボット、医療・介護ロボット等の分野における技術開発、社会受容性、規制環境等の課題を総合的に分析しています。
ロボット産業の市場動向 世界のロボット市場は前年比18.2％増の742億ドルに達し、日本の市場規模は1.9兆円（世界シェア17.8％）で世界第2位を維持しています。産業用ロボットでは製造業の自動化率が72.4％に向上し、特に自動車産業では94.2％の高水準となっています。サービスロボット分野では清掃・警備用途が急成長し、年間出荷台数が前年比156.7％増の28,400台となりました。
社会実装の進展状況 ロボット技術の社会実装率は前年比12.8ポイント向上の58.3％となり、特に物流・倉庫分野では89.1％、医療・介護分野では45.7％となっています。労働生産性への効果として、ロボット導入企業では平均34.5％の生産性向上が確認され、人手不足対応として67.2％の企業が有効性を評価しています。また、人とロボットの協働システム導入により、作業効率が42.3％改善されています。
政策支援と普及促進策 ロボット社会実装の加速化に向けて、年間1,200億円規模の「ロボット社会実装促進プログラム」の創設を提案しています。技術開発・実証支援に500億円、導入支援・補助金に400億円、規制緩和・制度整備に200億円、人材育成に100億円を配分する計画です。2030年までにロボット市場規模を現在の1.9兆円から4兆円に倍増させ、社会実装率を58.3％から85％以上に向上させることを目標としています。