ジェトロ・ヒューストン事務所が2025年4月に作成した「オクラホマ州 ビジネスの魅力ガイド」で、同州のエネルギー産業を中核とした投資環境と日本企業進出機会について分析したものです。
オクラホマ州は人口398万人、州内総生産（GSP）約2,200億ドル（2023年）を誇る米国中南部の戦略的拠点で、エネルギー産業において全米屈指の地位を確立しています。原油生産量は日量約52万バレル（全米第5位）、天然ガス生産量は年間2.8兆立方フィート（全米第4位）に達し、エネルギー関連企業約1,500社が州内に拠点を設置しています。また風力発電では設備容量1万3,200メガワット（全米第2位）を誇り、再生可能エネルギー分野でも先進的な地位を占めています。
エネルギー産業クラスターの優位性
オクラホマシティとタルサを中心とするエネルギー産業クラスターには、デボン・エナジー、チェサピーク・エナジー、コンティネンタル・リソーシズなどの大手石油・ガス会社が本社を構えています。エネルギー関連の雇用は州全体で約12万人に達し、平均年収は7万5,000ドルと州平均を大幅に上回ります。石油精製能力は日量約55万バレルで、天然ガス処理能力は日量140億立方フィートに達し、中西部地域のエネルギー供給において重要な役割を担っています。
航空宇宙産業の集積
オクラホマ州は航空宇宙産業でも競争力を持ち、ボーイング、エアバス、ガルフストリーム、アメリカン航空の整備拠点などが州内に展開しています。航空宇宙関連の雇用は約4万人、年間生産額は約65億ドルに上り、特にタルサ国際空港周辺では航空機整備・改修業務が集積しています。また州立大学システムが航空宇宙工学の専門教育プログラムを提供し、産業界が必要とする技術者を継続的に供給しています。
投資環境と優遇制度
オクラホマ州は事業運営コストが全米平均より約18%低く、製造業の平均年間労働コストは4万3,800ドルと競争力の高い水準を維持しています。工業用電力料金は1キロワット時あたり5.9セント（全米平均の約70%）と安価で、エネルギー集約型産業にとって大きなメリットがあります。州政府の投資誘致策として、Quality Jobs Program により新規雇用に対して給与の5%を最大10年間税額控除し、研究開発活動には支出額の25%の税額控除を提供しています。また製造業設備投資に対する5年間の固定資産税免除制度も整備されています。
記事は、オクラホマ州がエネルギー産業の集積、低コスト操業環境、充実した投資インセンティブにより、日本企業のエネルギー・航空宇宙分野での米国進出における戦略的拠点として高い魅力を持つと結論づけています。