ジェトロ・ヒューストン事務所が2025年4月に作成した「ルイジアナ州 ビジネスの魅力ガイド」で、同州のエネルギー・化学産業を中心とした投資環境と日本企業進出機会について分析したものです。
ルイジアナ州は人口463万人、州内総生産(GSP)約2,500億ドル(2023年)を誇る米国南部の主要経済州で、メキシコ湾に面した397マイルの海岸線とミシシッピ川デルタ地帯という地理的優位性を活かした重化学工業の集積地として発展しています。全米第3位の原油生産量(日量120万バレル)、第2位の天然ガス生産量(年間2.5兆立方フィート)を誇り、エネルギー関連産業の一大拠点となっています。
エネルギー・化学産業クラスター
同州の石油化学コンプレックスは全米最大規模で、精製能力が日量320万バレル(全米の約18%)、エチレン生産能力が年間1,800万トン(全米の約25%)に達します。バトンルージュ、レイクチャールズ地域には、エクソンモービル、シェル、サソール、三菱ケミカルなど世界大手企業が大型プラントを展開し、総投資額は過去5年間で約400億ドルに上ります。LNG輸出基地としても急成長しており、キャメロンLNG、コーパスクリスティLNGなど6つの輸出基地が稼働・建設中で、年間輸出能力は1,200万トンを超える見込みです。
港湾・物流インフラの優位性
ルイジアナ州は全米最大の港湾取扱量を誇り、年間貨物取扱量は約5.4億トンに達します。特にニューオーリンズ港はミシシッピ川水系を通じた内陸輸送の要衝で、穀物輸出では全米の約60%を取り扱っています。サウス・ルイジアナ港は石油化学製品の輸出入拠点として機能し、年間化学製品取扱量は約8,000万トンに上ります。州内には14の商業空港と3,100マイルの鉄道網が整備され、メキシコ湾岸地域全体への効率的な物流ネットワークを形成しています。
投資インセンティブと人材開発
ルイジアナ州は製造業投資に対して手厚い優遇制度を提供しており、工業用地税制優遇プログラム(ITEP)により製造業設備投資の80%を10年間固定資産税から免除します。また研究開発税額控除は支出額の38%(全米最高水準)、雇用創出に対しては新規雇用1人当たり年間6,000ドルの税額控除を最大10年間適用します。州立大学システムとコミュニティカレッジが産業界と連携し、石油化学、製造技術、物流管理の専門人材育成プログラムを展開しています。
記事は、ルイジアナ州がエネルギー産業の集積、優れた港湾アクセス、充実した投資インセンティブにより、日本企業の化学・エネルギー分野での米国進出における最有力候補地であると結論づけています。