OECD(経済協力開発機構)とFAO(国連食糧農業機関)が共同で公表した、2034年までの世界の乳製品需給見通しについて解説したものです。
世界の乳製品生産量は年1.8%の増加率で成長を続け、2034年には11億4,600万トンに達する見込みです。地域別の動向では、インドとパキスタンが生産量の大幅な増加を牽引する一方、EUやニュージーランドなどの先進国では生産量の伸びが鈍化すると予測されています。アフリカ、中東、北アフリカ(MENA)地域では生産量が増加し、特にアジア地域では生産と需要の大幅な拡大が見込まれています。
主要乳製品では、スキムミルクパウダー(SMP)とホールミルクパウダー(WMP)の需要が増加し、輸出市場においてはEUとニュージーランドが引き続き主要プレイヤーとしての地位を維持すると予想されています。価格については安定的に推移し、貿易量は2024年の記録的な輸出量から2034年まで緩やかな成長を続けると予測されています。
需要の主要な拡大要因として、人口増加、経済成長、消費パターンの変化が挙げられており、これらが相互に作用して乳製品需要の持続的な成長を支えることが期待されています。
記事は、世界の乳製品市場が地域間の構造的変化を伴いながらも、安定した成長軌道を維持すると結論づけています。