タスクフォース設置の背景
米国司法省は8月29日、関税不当回避・輸入禁止物品密輸の取り締まり強化を目的とした省庁横断の貿易詐欺対策タスクフォースを立ち上げると発表。トランプ政権による関税回避を目的とする迂回輸入防止の取り組み強化の一環として、関税徴収に関する法執行能力を強化する狙い。
米国第一の通商政策との連携
司法省はドナルド・トランプ大統領が1月20日に発表した「米国第一の通商政策(AFTP)」推進には、事業者による通商法順守確保が必要と指摘。米国製造業者の「競争条件平準化」を目的としたアンチダンピング関税(AD)・補助金相殺関税(CVD)、1974年通商法301条に基づく追加関税など全関税の適切な支払いを確実にする必要性を強調。
執行体制の強化
連携機関: 税関・国境警備局(CBP)、国土安全保障捜査局(HSI)等の法執行機関と協力体制を構築。
取り締まり対象: 法律違反で不当に関税を支払わない事業者の厳格な取り締まり実施。
通報システム: 不公正な貿易慣行・貿易詐欺に関する米国内事業者からの通報を歓迎。司法省の内部告発プログラム宛て([email protected])に専用フォーマットで送付可能。
迂回輸入対策の全体像
トランプ政権は追加関税の賦課に加え、迂回輸入対策に注力。8月7日から適用再開の相互関税では、CBPが迂回輸入と判断した場合に40%の追加関税に加え、罰金等も科すと発表。各国との個別合意においても、迂回輸入防止を念頭に置いた新原産地規則の交渉を明記している。
連邦議会の動き
2024年7月と2025年3月に、司法省内に貿易関連法令違反を重点調査するタスクフォース設置の同内容法案が提出。2024年7月提出法案は第118議会終了で廃案、2025年3月提出法案は9月時点で審議継続中。関税執行強化への議会の継続的な関心を示している。