研究の背景と目的
本研究は、ゴルフ場、ボウリング場、アミューズメント・テーマパークなどのレジャー産業を対象に、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）が業績に与えた影響を実証的に評価することを目的とした経済産業研究所の分析レポートである。レジャー産業において人々の対面での接触が不可欠であるため、COVID-19の感染拡大に伴う外出制限は、事業運営に大きな影響を及ぼした。
研究手法の特徴
本研究の独自性は、事業所単位のミクロデータの位置情報をジオコーディングし、ビッグデータとして収集された人の移動データとつなげることで、新型コロナウイルス感染症の流行時に事業所周辺の人の外出が業績にどれだけ影響したかを統計的に評価した点にある。2019年1月から2021年12月までの事業所レベルの月次パネルデータを用いて分析を実施した。
主要な分析結果
COVID-19の新規感染者数の増加は、レジャー産業の業績に対して直接的な負の影響があることが判明した。さらに興味深い発見として、COVID-19流行前と期中を比較すると、業績と平日外出の間の相関関係に構造的変化が観測されており、余暇活動における行動変容の可能性が示唆される。
研究の意義
この研究は近藤恵介上席研究員と大久保敏弘ファカルティフェローによる地方創生のためのエビデンスに基づく政策形成プロジェクトの一環として、2025年8月に発行された。レジャー産業における感染症影響の定量分析として貴重な知見を提供している。