調査目的と地域政策への貢献 経済産業省が地域経済活性化の中核組織であるDMO(Destination Management Organization)の機能強化により、持続可能な観光地域づくりと地域経済の自立的発展を促進するため実施した調査報告書です。全国のDMOの運営状況、事業効果、課題を詳細に分析し、地域特性を活かした観光振興と経済活性化の推進方策を提言しています。
DMO活動の展開状況 全国に設立されたDMOは累計193団体となり、そのうち世界水準DMO候補が14団体、地域連携DMO候補が118団体、地域DMO候補が61団体となっています。DMO管轄地域への年間観光客数は総計2.8億人に達し、観光消費額は年間15.7兆円を記録しています。特に地方部のDMOでは、外国人観光客数が前年比67.4%増となり、インバウンド需要回復の牽引役となっています。
経済効果と地域への波及 DMO活動による地域経済波及効果は年間総額3.2兆円で、雇用創出効果は18.9万人となっています。観光関連事業者の売上高は平均23.4%向上し、地域特産品の販売額も42.7%増加しました。また、DMOによる地域ブランディングにより、移住・定住促進効果も見られ、社会減少率が年間0.8ポイント改善された地域が67.3%に達しています。
機能強化と支援拡充 DMO機能の更なる強化に向けて、年間300億円規模の「地域DMO発展支援プログラム」の創設を提案しています。戦略策定・マーケティング支援に120億円、デジタル基盤整備に80億円、人材育成・組織強化に60億円、国際連携推進に40億円を配分する計画です。2030年までに世界水準DMO数を現在の14団体から50団体以上に拡大し、DMO管轄地域の観光消費額を現在の15.7兆円から25兆円に増加させることを目標としています。