日本銀行が実施した第102回「生活意識に関するアンケート調査」(2025年6月調査)の結果について、国民の経済認識と生活実感の変化を詳細に報告したものです。
調査は2025年5月1日から6月3日にかけて全国の満20歳以上の個人4,000人を対象に実施され、2,016人から有効回答を得ました(有効回答率50.4%)。層化二段無作為抽出法により対象者を選定し、郵送またはインターネットによる回答方式を採用しています。
景況感については悪化傾向が顕著に表れており、現在の景気について「悪くなった」と回答した人が70.5%に達し、D.I.(「良くなった」-「悪くなった」)は-67.0となり、前回調査(2025年3月)の-59.8からさらに悪化しました。1年後の景気見通しについても、「悪くなる」が48.4%で「良くなる」の4.5%を大きく上回り、D.I.は-43.9と前回の-37.1から悲観的な見方が強まっています。
生活実感についても厳しい認識が広がっており、暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」との回答が61.0%に上り、前回調査の55.9%から増加しました。「ゆとりが出てきた」は3.8%にとどまり、D.I.は-57.2と前回の-52.0から悪化しています。
物価に関する認識では、現在の物価について「かなり上がった」が75.3%、「少し上がった」が20.8%となり、合わせて96.1%が物価上昇を実感しています。1年後の物価見通しについても「かなり上がる」が33.4%、「少し上がる」が51.7%と、85%以上が今後も物価上昇が続くと予想しています。
日本銀行の金融政策に関する認知度では、「物価の安定」が日本銀行の目的であることを「知っている」人は26.2%、「見聞きしたことはあるが、よく知らない」が46.8%、「見聞きしたことがない」が26.3%となりました。消費者物価前年比上昇率2%の「物価安定目標」については、「知っている」が21.7%にとどまり、「見聞きしたことがない」が45.2%と半数近くに上っています。
日本銀行への信頼度については、「信頼している」と「どちらかと言えば、信頼している」を合わせて41.3%となり、前回調査の48.8%から低下しました。「どちらとも言えない」が47.6%と最も多く、中立的な立場の回答者が増加しています。
記事は、国民の景況感や生活実感が一段と悪化し、物価上昇への懸念が継続する中で、日本銀行の金融政策への理解度や信頼度に課題があることを具体的な数値で示しています。