ジェトロ海外ビジネスサポートセンター貿易投資相談課とジェトロ・メキシコ事務所が2025年3月に発行し、2025年8月6日に最終更新した「小口貨物の通関・関税制度（メキシコ）」調査レポート（全21ページ、PDF 1.9MB）について詳細に解説したものです。
本レポートはメキシコにおける小口貨物輸入時の通関手続きや関税制度について包括的に取りまとめており、2025年7月28日付SAT（メキシコ税務行政庁）貿易細則第4次改定を反映した最新の制度変更内容が盛り込まれています。日本企業のメキシコ向け小口貨物輸出の増加と電子商取引の拡大を背景として、実務上の重要性が高まっている分野の詳細ガイドとして位置づけられています。
メキシコの小口貨物輸入制度では、貨物の種類、金額、用途に応じて複数の通関カテゴリーが設定されており、個人使用目的の小口貨物と商業目的の輸入では適用される関税率、必要書類、手続きの複雑さが大きく異なります。特に200米ドル以下の個人使用貨物については簡素化手続きが適用される一方、商業輸入については通常の輸入通関手続きに準拠した厳格な審査が要求されます。
通関手続きについては、メキシコ税務行政庁（SAT）による貿易細則（Reglas de Comercio Exterior）に基づく最新の規制フレームワークが詳細に説明されており、小口貨物特有の迅速化措置、簡素化された申告手続き、免税措置の適用条件と限度額について実務的観点から解説されています。電子申告システム（VUCEM）の活用方法、必要な事前登録手続き、通関業者（Agente Aduanal）の選定基準なども含まれています。
関税制度については、小口貨物に適用される特別税率体系、HSコードに基づく商品分類、関税評価方法、付加価値税（IVA）16％の適用条件、特定品目に課される特別税（IEPS）の計算方法について詳細な説明が行われています。また、USMCA（米国・メキシコ・カナダ協定）やTPP11等の経済連携協定による特恵税率の活用方法についても実用的な情報が提供されています。
電子商取引の拡大に伴う制度変更として、デジタルプラットフォーム経由の小口輸入に対する新たな監視体制、VAT登録義務の拡大、国際郵便・宅配便業者に対する報告義務強化などの最新動向も反映されています。
記事は、日本企業がメキシコ市場への小口貨物輸出を効率的かつコンプライアンスに適合する形で実施するため、制度理解から実務対応まで必要な情報を体系的に整理した重要な実践ガイドとなっています。