中国の工業情報化部と国家発展改革委員会、自然資源部が2025年8月22日、「レアアースの採掘と製錬・分離に対する総量規制管理暫定弁法」を公布しました。2024年10月施行の「レアアース管理条例」に基づく重要な実施細則です。
総量規制管理の概要
レアアース(レアアース鉱物を含む)の採掘および各種レアアース鉱物の製錬・分離に対して、総量規制管理を実施:
管理プロセス:
- 工業情報化部が関連部門と連携し、年度総量規制指標を策定
- 国務院の承認を経て、各生産企業に配分
- 企業は配分された指標範囲内で生産活動を実施
2024年の総量規制指標
- レアアース採掘: 27万トン
- 製錬・分離: 25万4,000トン ※2回に分けて企業に配分
企業に求められる新たな義務
報告義務
- 月次・年次の総量規制指標履行状況を県級政府担当部門に報告
- レアアース製品フロー記録制度の整備
システム入力義務
毎月10日までに前月のレアアース製品流通情報を「レアアース製品トレーサビリティー情報システム」に入力することが義務化されました。これにより、レアアース製品の流通全体の透明性が大幅に向上します。
監督検査と罰則
- 県級以上の政府部門による監督検査強化
- 違法行為の取り締まり強化
- 違反企業への罰則: 翌年の総量規制指標割り当て分を削減
市場への影響と専門家の見解
中国レアアース業界協会の陳占恒副秘書長の分析:
プラス面:
- 資源の過剰採掘による価格変動を回避
- 市場価格の安定化に貢献
懸念点:
- 輸入鉱物も総量規制対象となることで、需要急増時に価格上昇リスク
- 川下企業の安定運営への影響可能性
背景と意義
この管理弁法は、レアアース資源の戦略的管理強化と持続可能な開発を目的としています。2012年の旧弁法を廃止し、より厳格な管理体制を構築することで、レアアース産業の健全な発展と資源保護の両立を図ります。