日本銀行が実施した第102回「生活意識に関するアンケート調査」(2025年5月1日~6月3日実施、標本数4,000人、有効回答2,016人、回答率50.4%)の結果について、人々の生活意識や経済に対する認識の変化を詳細に報告したものです。
本調査では、人々の景況感が前回調査から大幅に悪化していることが明らかになりました。1年前と比較した現在の景況感D.I.は前回3月調査の-59.8から-67.0へと7.2ポイント悪化し、依然として多くの回答者が景気の悪化を実感しています。さらに注目すべきは、1年後の景況感D.I.も-37.1から-43.9へと6.8ポイント悪化しており、将来に対する期待も後退していることです。暮らし向きD.I.についても-52.0から-57.2へと5.2ポイント悪化し、家計の厳しさが増していることがうかがえます。
物価に関する認識では、1年前と比較して物価が「かなり上がった」と回答した割合が75.3%という高水準に達し、4人に3人が物価上昇を強く実感していることが分かりました。今後1年間の物価見通しについても、33.4%が「かなり上がる」と予想しており、物価上昇圧力が継続するとの見方が根強いことが示されています。このような物価高が続く中で、人々の生活防衛意識が高まり、消費行動にも慎重さが増していることが調査結果から読み取れます。
日本銀行に対する信頼度については、「信頼している」と回答した割合が前回の48.8%から41.3%へと7.5ポイント低下し、過半数を大きく下回る水準となりました。中央銀行への信頼が揺らいでいる背景には、物価高が続く中での金融政策運営に対する不満や、生活改善への期待が実現していないことがあると考えられます。特に、物価安定という日銀の使命に対する疑問が、信頼度低下につながっている可能性があります。
記事は、景況感の悪化、物価高の継続、日銀への信頼低下という三つの要素が相互に関連しながら、人々の生活意識が全般的に厳しさを増している現状を具体的な数値で示し、日本経済が直面する課題の深刻さを浮き彫りにしています。