調査概要と実施背景 本調査は、令和6年度経済産業省委託事業として、生成AI技術の急速な普及を背景に、我が国企業におけるAI・データ活用による新サービス創出の現状と課題を分析し、デジタル経済の発展に向けた政策提言を行うことを目的として実施されました。ChatGPT等の生成AI普及後の企業活動の変化を包括的に調査しています。
AI・データ活用の現状と進展 全国の企業1万2,000社への調査により、何らかの形でAIを活用している企業は47.3%となり、前年度比19.7ポイントの大幅な増加を記録しました。特に生成AIの活用率は28.1%に達し、業務効率化に平均32.4%の改善効果をもたらしています。データ活用による新サービス・製品開発に取り組む企業は34.8%となり、そのうち62.7%が「収益性の向上」を実感しています。
業種別活用状況と効果 情報通信業では89.7%の企業がAIを活用し、最も高い導入率を示しています。製造業では品質管理・予知保全分野で活用が進み、不良品率の平均15.8%削減を達成しました。小売業においては、需要予測精度が42.3%向上し、在庫最適化による収益改善が確認されています。一方、建設業や運輸業では導入率が20%未満にとどまり、業種間格差が課題となっています。
課題と今後の政策方向性 AI活用の主な課題として、専門人材不足（67.4%）、初期投資負担（52.3%）、データ品質の問題（41.9%）が挙げられています。これを受けて、AI人材育成に向けた総額150億円の新たな支援制度創設と、中小企業のAI導入を促進する補助制度の拡充が提言されています。また、データ流通基盤の整備とプライバシー保護ルールの国際調和により、我が国のデジタル競争力強化を図る方針が示されました。