月例経済報告(9月)
概要
内閣府の令和8年9月月例経済報告は、国内景気を緩やかな回復基調と判断しつつ、中東情勢、自然災害、金融資本市場の変動への注意を促す。個人消費、設備投資、輸出、生産、雇用には持ち直しや改善の動きがある一方、貿易・サービス収支は赤字、住宅建設は横ばい。政策面では「経済財政運営と改革の基本方針2026」に基づく財政運営、燃料・電気・都市ガスの負担緩和、原油や重要物資の安定供給、熊本地震の被災者支援を掲げた。日本銀行は9月18日に無担保コールレートを1.25%程度で推移させる方針を決定。報告は国内各分野と米国、アジア、欧州の景気・物価・金融動向を概観する。
要点
- 国内景気は緩やかな回復基調だが、中東情勢や自然災害の影響への注視が必要。
- 政府は「責任ある積極財政」の下で、強い経済と財政の持続可能性を一体的に実現する方針。
- 消費・投資・輸出・生産・雇用に持ち直しや改善がみられ、貿易・サービス収支は赤字。
- 海外景気は緩やかな持ち直しが続く一方、中東情勢などによる不透明感が続く。
概要
月例経済報告は、我が国経済の基調判断、政策の基本的態度、需要動向、企業活動と雇用、物価と金融情勢、海外経済を扱う。国内景気について、個人消費は持ち直しの動き、設備投資は持ち直し、輸出は持ち直しの動き、生産は総じて持ち直しの動き、雇用情勢は改善の動きと評価する。企業収益は改善しているが中東情勢の影響を注視し、消費者物価は緩やかに上昇しているとした。
先行きは雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えると期待する一方、中東情勢や自然災害の影響に加え、金融資本市場の変動の影響に注意を求める。海外については、一部地域に弱さがあるものの世界景気の緩やかな持ち直しが続くとし、中東情勢を含む不透明感や金融市場の変動を注視する。
影響
政府は中東情勢への当面の措置として、燃料油の緊急的な激変緩和措置と電気・都市ガス料金の負担軽減策を実施している。代替調達や必要に応じた備蓄放出で原油の安定供給を図り、重要物資の安定供給確保と流通円滑化に努める。
令和8年熊本地震について、政府は「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を速やかに実行する。
政府と日本銀行は緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的に政策運営を行う。日本銀行には、賃金と物価の好循環を確認しながら物価安定目標を持続的・安定的に実現することが期待されている。
詳細
政策の基本方針は、7月21日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2026」に基づき、「責任ある積極財政」の下で「強い経済」と「財政の持続可能性」を一体的に実現し、デフレに後戻りしない「成長型経済」への移行を確実にすること。令和8年度予算と、リスク最小化のため編成した同年度補正予算は情勢に応じて適切かつ機動的に執行する。
国内需要では、2026年4-6月期の実質民間最終消費支出は前期比0.0%増、設備投資は同1.5%増(製造業0.4%増、非製造業2.0%増)。7月の新設住宅着工は前月比1.6%減、年率77.4万戸。公共投資関連では、令和8年度の公共事業関係費が前年度当初予算比0.4%増、地方単独事業費が前年度比6.3%増。
2026年4-6月期の経常利益は前年比24.6%増、前期比11.0%増。7月の倒産は1,028件、8月は830件。完全失業率は7月に2.4%。賃金と実質総雇用者所得は増加傾向と報告され、人手不足感は高水準。
8月の消費者物価は、生鮮食品・エネルギーを除く総合で前月比0.3%、前年比1.9%上昇。生鮮食品を除く総合は前月比0.1%上昇、総合は前月比0.0%。8月の国内企業物価は前月比0.1%下落した。
海外では、2026年4-6月期のGDP成長率は中国が前年同期比4.3%増、韓国が前期比0.6%増、台湾が前年同期比12.9%増、インドネシア5.3%増、タイ1.9%増、インド7.8%増。米国は前期比0.4%増で、9月の政策金利誘導目標は3.75%から4.00%の範囲に引き上げられた。
欧州中央銀行は9月10日に政策金利(預金ファシリティ金利)を2.50%へ引き上げ、イングランド銀行は9月16日に政策金利を3.75%で据え置いた。