【記者会見】増審議委員(福井、9月10日分)
概要
日本銀行の増審議委員は、福井県内の行政、経済界、金融界との懇談会を踏まえ、県経済は全体として緩やかに回復していると説明した。物流の目詰まりはかなり解消した一方、物価上昇と人手不足が企業の課題となっている。基調的なインフレ率は2%に近づくものの、大きく超える状況ではなく、2%に届いた後の安定が重要だとした。政策金利は中立金利の推計レンジに入れる必要性を示しつつ、利上げの時期や間隔は情勢を一回ごとに検証して判断すると述べた。地域の小規模企業への影響は支店や事務所を通じて丁寧に把握し、長期金利については例外的な状況で機動的な国債買入れを行う考えを示した。
要点
- 福井県経済は全体として緩やかに回復している。
- 物価上昇と人手不足が地域企業の主な課題となっている。
- 基調的なインフレ率は2%への到達と安定が課題である。
- 利上げは固定的な間隔によらず、その時々の情勢を踏まえて判断する。
概要
増審議委員は、福井県内の行政、経済界、金融界の代表者から、地域の課題や現状、日本銀行への要望を聞いた。懇談会では、県経済を悲観的にとらえず、粘り強く前向きに取り組む姿勢も示された。
福井県経済は、中東情勢や自然災害の影響を受けながらも、全体としてしっかりしており、緩やかに回復していると評価された。今後は物価高への対応と、自然災害に対する耐性が試される局面にある。
日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を第一に、金沢支店・福井事務所などを通じて地域との意見交換を続ける方針を示した。
影響
物価上昇について、食品に加えて物流コストが基調的な物価に影響することが懸念されている。ただし、基調的なインフレ率が2%を大きく超える状況は現時点で見えていない。
利上げが速い場合、中小・小規模事業者では利益がほとんどなくなり、成長投資のための借入れが難しくなるとの声が地域で聞かれている。地域金融機関にも、貸出金利と預金金利への対応が課題となる。
日本銀行は、統計で把握しにくい小さな会社への利上げの悪影響を含め、支店や事務所で現場の声を吸い上げ、悪影響を見落とさないようにするとした。
詳細
福井県では、イランの問題に伴って懸念された物の目詰まりが現時点でかなり解消したとの説明があった。一方、価格は上昇しており、人手不足が当地の企業が最も直面する問題として挙げられた。日本銀行には、地方の事情にも目配りしてほしいとの要望が寄せられた。
基調的なインフレ率は2%に届く頃合いに近づいているが、大きく超える状況ではないとされた。重要なのは、2%に届いた後にそこへ安定させることであり、物価上昇率が大幅かつ急激に上振れするデータは今のところないとの認識が示された。
政策金利を中立金利の推計レンジに入れる必要性について、増審議委員は、日銀が示す1.1%から2.5%のレンジの下に長く位置している状態を早く解消したいとの趣旨だと説明した。ただし、レンジの中央など具体的な水準のイメージは示さなかった。1.25%になった場合でも緩和的かどうかは、その時点で判断するとした。
利上げの時期やペースは、為替、原油価格、国際的な食料価格などを次回会合まで検証し、一回ごとに議論するとされた。過去の利上げ間隔は、2024年3月から7月までの4か月、次の6か月、その後の11か月、さらに6か月であり、概ね半年という間隔をあらかじめ計算して運用しているわけではないと説明された。
海外の利上げモードは意識するものの、日本銀行は日本の実情に合わせて金融政策を判断するとした。米国財務長官の発言については、増審議委員がコメントする立場ではないとし、緩和度合いの調整は日本の中央銀行として適切に判断すると述べた。
長期金利は市場で形成されるというのが基本線であり、原油高、インフレ、財政を巡る各国の問題が高い金利につながっているとの見方が示された。国債買入れの増額などの機動的なオペは、例外的な状況で実施する考えで、現在が該当するかは状況を踏まえて判断するとした。