リニア品川-名古屋間、総工事費11兆円の見通しを政府が説明
概要
国土交通大臣は、JR東海がリニア中央新幹線の品川-名古屋間について、従来の約7兆円から約4兆円増の約11兆円となる見通しを示していると説明した。増額には物価高騰の影響や今後のリスクへの備えが含まれるとし、必要な時期に再算定・見直しを行うべきだとの認識を示した。部分開業については、JR東海が健全経営を損なわないと説明しているとし、国土交通省は経営・工事の進捗を注視しながら東京-大阪間の全線開業を目指す。
要点
- 品川-名古屋間の総工事費は約11兆円となる見通し。
- 政府は、部分開業がJR東海の健全経営を損なうとの懸念は当たらないと説明した。
- 工事費増額の主な理由として2.3兆円が示され、その中に今後のリスクに備える1兆円が含まれる。
- 国土交通省は、関係自治体とJR東海と連携し、全線開業に向けて取り組む方針を示した。
概要
記者会見では、静岡工区の着工可能性が高まったことを受け、建設費の再試算の必要性と、品川-名古屋間の部分開業に関するJR東海の見通しが問われた。
JR東海は令和7年10月、品川-名古屋間の従来予定額約7兆円に約4兆円を加え、総工事費が約11兆円となる見通しを公表した。
大臣は、物価高騰などの影響を含む費用の算定や見直しは、事業主体であるJR東海が必要なタイミングで適切に行うものだとの認識を示した。
主要数値
- 従来の品川-名古屋間総工事費
- 約7兆円
- 増額分
- 約4兆円
- 現在の品川-名古屋間総工事費見通し
- 約11兆円
- 物価等高騰の影響による主な増加額
- 2.3兆円
- 今後の物価高騰等のリスクへの備え(2.3兆円に含む)
- 1兆円
- 総工事費見通しの公表時期
- 令和7年10月
影響
JR東海は、約11兆円となる見通しの品川-名古屋間の建設に必要な資金を、健全な経営を損なうことなく自社で賄えると表明している。大臣は、そのことについて株主総会などを通じて株主や市場関係者の理解を得ているものと説明した。
部分開業をめぐっては、名古屋での乗り換えによる時間短縮効果や需要、収支への懸念が示された。一方、政府は東京圏・名古屋圏間の速達化や中間駅の新規利用による需要喚起を見込むJR東海の説明を受け、健全経営への影響はないと受け止めている。
国土交通省は、工事の進捗と経営状況を継続的に確認する立場を取り、関係自治体との連携を通じて、東京-大阪間の全線開業を早める政策運営を続ける。
詳細
大臣は、増額の主な理由として物価等高騰の影響による2.3兆円を挙げた。当初の説明では、将来のさらなる上昇リスクに備えた1兆円の上乗せが示されたが、後の訂正で、この1兆円は2.3兆円の内数であり、2.3兆円とは別に加算するものではないと明確にした。
大臣は、難工事や多様なリスクを考慮してJR東海が工事費を推計したと説明し、個別の金額が十分かどうかを国土交通省が判断するのではなく、事業主体の経営判断として見守る考えを示した。
川勝前静岡県知事が示した部分開業への懸念について、大臣は、令和5年に静岡県が総理宛て書簡で求めた部分開業のメリットに関する調査を国土交通省が実施し、結果を県に説明して理解を得たと述べた。
大臣は、JR東海が経営を度外視して事業を進めるとは考えておらず、危機管理を含めた予算上乗せも行っているとして、前知事の懸念は当たらないとの見解を示した。