調査研究の目的・範囲
国土交通省国土交通政策研究所が令和7年6月に公表した本調査研究は、宅配物流の大部分を占める都市とその近郊の都市物流に着目し、海外の環境負荷軽減に関する先進的取組を詳細に把握・分析した2か年研究の最終報告書。地方公共団体、物流関係機関、事業者による環境負荷軽減取組の参考情報・基礎資料として策定された。
調査手法・対象
海外事例の収集・分析:
- 39件の海外先進事例を収集
- 5か国11都市(うち1つは州)を深掘調査対象として選定
- 7事例の関係者に対する直接インタビューを実施
- 取組の詳細および背景となる都市政策・交通政策を詳細把握
調査対象国・都市: 欧州を中心とした先進諸国の主要都市における持続可能な都市物流計画(SULPs: Sustainable Urban Logistics Plans)の実施事例
主要な研究知見
(1)基礎自治体レベルでの計画立案効果: 物流に関する計画を基礎自治体レベルで策定することで、ステークホルダー間の合意形成が促進される。地元の実情を踏まえた計画により、物流事業者・住民・行政の利害調整が円滑に進む。
(2)広域ルール統一の重要性: 広域的な視点でのルール統一化により、物流事業者の負担が大幅に軽減される。異なる自治体間で規制や手続きが統一されることで、事業者の運用コスト削減と効率化が実現。
(3)行政の専門体制整備: 行政における物流専門部署の設置が、事業モデルの見直しといった新たな対応策につながる可能性が高い。専門知識を有する部署により、実効性の高い政策立案・実施が可能。
カーボンニュートラル実現への貢献
本調査研究は、カーボンニュートラル実現に向けた都市物流の環境負荷軽減、二酸化炭素排出量削減(脱炭素)、持続可能な交通政策の確立を主要テーマとし、地方自治体の都市物流ビジョン策定に資する知見を提供している。