国立社会保障・人口問題研究所 - レポート

令和5年度 社会保障費用統計~新型コロナウイルス感染症対策関係費が縮小し、社会保障費用は前年度から減少

国立社会保障・人口問題研究所は2025年7月29日、令和5年度(2023年度)社会保障費用統計を公表しました。本統計は、日本の社会保障制度全体の費用構造と財源構成を国際比較可能な形で整理した重要な政府統計であり、OECD基準、ILO基準、EU基準の3つの国際基準に基づいて作成されています。...

女性成人子の世代間関係:有配偶女性と離別女性の親への支援パターンの比較:第7回全国家庭動向調査(2022年)』の個票データを利用した実証的研究(その2)

第7回全国家庭動向調査(2022年)のデータを用いて、有配偶女性と離別女性の親への支援パターンを比較分析した研究。離別女性は有配偶女性と比較して、実親への経済的支援や介護支援を行う割合が高いことが判明。これは、離別により配偶者側の親族ネットワークを失い、実親との関係がより重要になるためと考えられる。一方で、離別女性自身の経済状況は厳しく、親への支援が自身の生活を圧迫するケースも見られた。ひとり親世...

動態積上による日本人生年別人口の再構成と静態統計との比較~1944/45年の死亡構造統計をふまえて:長期的人口減少と大国際人口移動時代における将来人口・世帯推計の方法論的発展と応用に関する研究(その2)

本研究は、国立社会保障・人口問題研究所の林玲子氏による人口統計の精緻な再構成研究である。明治5年(1872年)から令和5年(2023年)までの約150年間にわたる日本人人口を、動態統計(出生・死亡・国籍異動)の積み上げによって生年コーホート別に再構成し、国勢調査等の静態統計と比較検証した。...

高年齢層の性的指向・性自認のあり方を量的調査でいかに捉えるか~認知インタビューの分析結果から:性的指向と性自認の人口学の構築(その1)

高年齢層の性的指向・性自認の把握方法について、認知インタビュー調査の結果を分析した研究。60歳以上の調査対象者に対し、SOGI関連の質問項目の理解度や回答困難性を検証。「性的指向」「性自認」等の専門用語は理解されにくく、より平易な表現への変更が必要であることが判明。また、高齢者特有の回答バイアス(社会的望ましさ、プライバシー懸念等)への対処法を検討。世代による価値観の違いを考慮した、段階的な質問構...

特集によせて:性的指向と性自認の人口学の構築(その1)

本論文は、早稲田大学の釜野さおり氏による「性的指向と性自認の人口学の構築(その1)」特集の序論である。2021年度より開始されたこの研究プロジェクトは、JSPS科研費による前身プロジェクト(2016-2020年度)を引き継ぎ、日本におけるSOGI(Sexual Orientation and Gender Identity)に関する人口学的研究基盤の構築を目指している。...

人口問題研究 第81巻 第2号(2025年6月刊)~特集:性的指向と性自認の人口学の構築(その1) / 長期的人口減少と大国際人口移動時代における将来人口・世帯推計の方法論的発展と応用に関する研究...

「人口問題研究」第81巻第2号は、「性的指向と性自認の人口学の構築」を特集。LGBTQ+人口の規模や特性を把握するための調査方法論、国際比較可能な測定指標の開発等を検討。また、「長期的人口減少と大国際人口移動時代における将来人口・世帯推計の方法論的発展」では、国際人口移動の不確実性を考慮した新たな推計手法を提案。超長期の人口動態を予測する上で、気候変動、技術革新、地政学的変化等の外部要因をどのよう...

一般会計プロジェクト「自治体支援に向けた職域保険と地域保険の健康・医療・介護データの一元的分析支援研究」について

「自治体支援に向けた職域保険と地域保険の健康・医療・介護データの一元的分析支援研究」プロジェクトの概要紹介。健保組合等の職域保険と国保・後期高齢者医療の地域保険のデータを統合し、地域住民の健康状態を包括的に把握する仕組みを構築。自治体が効果的な保健事業を展開するため、匿名化されたレセプトデータ、特定健診データ、介護保険データ等を連結分析。先行自治体での実証により、糖尿病重症化予防、フレイル対策等で...

地域別将来人口の推計~「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」の概要

国立社会保障・人口問題研究所による「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」の概要を解説。2020年国勢調査を基準に、2050年までの都道府県・市区町村別の将来人口を推計。全国的な人口減少が加速する中、東京圏への一極集中が継続し、地方では急速な人口減少と高齢化が進展することを予測。2050年には約7割の市区町村で2020年比3割以上の人口減少が見込まれ、特に過疎地域では5割以上減少する自治体も多...

米国の医療保険加入者の動向~米国のパネル調査NLSYからの示唆

米国の医療保険加入者の動向について、全米青年縦断調査(NLSY)のパネルデータを用いて分析した研究。1979年から2018年までの長期追跡データから、雇用形態の変化が医療保険加入状況に与える影響を検証。正規雇用から非正規雇用への移行により無保険期間が発生しやすいこと、特に若年層で顕著であることを確認。オバマケア導入後も、保険料負担を理由とした任意無保険者が一定数存在することを指摘。日本の国民皆保険...