動態積上による日本人生年別人口の再構成と静態統計との比較~1944/45年の死亡構造統計をふまえて:長期的人口減少と大国際人口移動時代における将来人口・世帯推計の方法論的発展と応用に関する研究(その2)

本研究は、国立社会保障・人口問題研究所の林玲子氏による人口統計の精緻な再構成研究である。明治5年(1872年)から令和5年(2023年)までの約150年間にわたる日本人人口を、動態統計(出生・死亡・国籍異動)の積み上げによって生年コーホート別に再構成し、国勢調査等の静態統計と比較検証した。

研究の核心は、第二次世界大戦中の1944-45年の欠損データの推計にある。この期間は性・年齢別死亡統計が存在しないため、前後の静態統計から逆算する手法を開発。推計の結果、この2年間の超過死亡数は376万人に達し、特に1920年生まれ前後(1945年時点で25歳前後)の男性の死亡率が著しく高いことが明らかになった。これは徴兵による戦死者の年齢構成を反映している。

研究では、戸籍制度に基づく日本人を対象とし、国内居住者だけでなく在外邦人も含めた包括的なデータ構築を実施。出生数から死亡数と国籍異動を加除する数式モデル(P(a,i) = B(i) - ΣD(i,j) + ΣM(i,j))を用いて、各生年コーホートの人口推移を追跡した。

2020年時点での検証結果、動態積上人口は静態統計(国勢調査+在外邦人数)より0.3%多いという結果となった。生年別では差異があるものの、制度的に連動していない複数の統計システムが一定の整合性を保っていることが確認された。

本研究の意義は、歴史人口学の方法論的発展への貢献にある。戦争や災害による人口変動の分析手法として他の事例にも応用可能であり、ビッグデータ時代における既存統計の連携と活用の重要性を示唆している。特に、個々の統計の改善だけでなく、複数の統計を突き合わせることで、データの欠損期間の推計や統計の精度検証が可能になることを実証した点で画期的である。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。