米国農務省（USDA）が2025年7月11日に公表した2025/26年度の世界の大豆需給予測について分析したものです。
米国農務省世界農業観測ボード（USDA/WAOB）および米国農務省海外農業局（USDA/FAS）は、2025/26年度の世界の大豆需給予測値を更新しました。今回の予測では、世界の大豆生産量は4億2768万トン（前年度比1.3%増）となり、前月予測から86万トン上方修正されました。この背景には、世界的な大豆需要の増加と主要生産国における生産拡大があります。
主要生産国の動向として、最大の生産国であるブラジルの生産量は前月から据え置かれましたが、第2位の米国は、米国農務省全国農業統計局（USDA/NASS）が6月30日に公表した大豆の作付面積減少報告を受けて、前月から14万トン下方修正されました。この米国の作付面積減少は、代替作物への転換や気象条件の影響によるものと考えられます。
需要面では、世界の消費量（搾油仕向け）は3億6771万トン（同4.1%増）と前月から112万トン上方修正されました。これは、飼料用大豆ミールや食用大豆油の需要増加を反映しています。輸入量については、世界全体で1億8606万トン（同4.8%増）と前月から80万トン下方修正され、最大の輸入国である中国は1億1200万トン（前年度比5.2%増）と前月から据え置かれました。
輸出面では、世界全体で1億8763万トン（同3.8%増）と前月から80万トン下方修正されました。特に注目すべきは、米国の輸出量が前月から191万トン下方修正されたことです。これは、バイオ燃料向け大豆油の国内需要増加に加え、ブラジルとの輸出競合が激化していることが要因となっています。
期末在庫は1億2607万トン（同0.8%増）と前月から77万トン上方修正されました。これは、24/25年度のブラジルの輸出量修正（前月から240万トン下方修正）により同年度の期首在庫が前月から92万トン上方修正されたことなどを反映しています。
今回の予測で特に注目されるのは、中国の輸入量に関する見解の相違です。同日付で中国農業農村部が公表した25/26年度の中国の大豆輸入量は9580万トンで、USDAの予測値との間には1620万トンもの乖離があります。中国は世界最大の大豆輸入国であり、その輸入動向は国際相場に大きな影響を与えるため、今後の動向が注目されます。
記事は、世界の大豆需給は生産・消費ともに増加傾向にあるものの、主要輸出国間の競争激化や中国の輸入動向の不確実性が市場に影響を与える可能性があることを結論づけています。