文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の科学技術予測・政策基盤調査研究センターが2025年8月8日に公開した「科学研究のベンチマーキング2025-論文分析でみる世界の研究活動の変化と日本の状況-」(調査資料-350)について、論文分析による世界の研究活動動向と日本の科学技術競争力の詳細な比較分析を行った調査研究報告です。
本調査は、世界の主要国・地域の科学研究活動を論文データベース分析により定量的にベンチマーキングし、日本の科学技術システムの現状と課題を国際的視点から評価することを目的として実施されています。報告書全文(8.2MB)、概要版(1.6MB)、要旨(565KB)に加え、主要国の論文数とTop10%(1%)補正論文数に関する基礎データ(271KB)、論文数上位100か国・地域に関する基礎データ(10.4MB)、主要国のTop20%及びTop30%補正論文数に関する基礎データ(211KB)の詳細な参考資料、および報道発表資料(1.8MB)が含まれています。
調査では、世界の研究活動の変化について、中国の急速な論文数増加と研究影響力の向上、米国の依然として高い研究水準維持、欧州主要国の動向、そして日本の相対的地位の変化などが定量的に示されています。特に、論文の質を測る指標として用いられるTop10%論文およびTop1%論文の分析により、各国の研究力の実態が明確に比較されています。
日本の状況については、論文数の国際的シェアの推移、分野別の強み・弱みの変化、国際共著論文の動向、研究機関別の分析などが詳細に検討され、日本の科学技術政策の効果と今後の課題が浮き彫りにされています。また、新興国の研究活動の活発化と先進国との競争激化の中での日本の戦略的対応の必要性も指摘されています。
記事は、論文分析という客観的手法により世界の研究活動の変化を可視化し、日本の科学技術競争力の現状と課題を国際比較の観点から体系的に整理した重要な政策基盤データとして、今後の日本の科学技術政策の方向性を検討する上で不可欠な知見を提供しています。