調査概要と位置づけ 文部科学省科学技術・学術政策研究所（NISTEP）が2025年8月に発表した「科学技術指標2025」（調査資料-349、DOI付き正式版）は、日本の科学技術活動を客観的・定量的データで体系的に把握する基礎資料として、約160の指標で日本及び主要国の状況を明らかにした年次報告書である。
日本の国際的地位 2025年版調査では、日本の科学技術力の国際的地位が具体的に示された。研究開発費・研究者数は主要国（日米独仏英中韓7か国）中第3位、論文数（分数カウント法）は世界第5位、特許（パテントファミリー数）は世界第1位を維持している。産業競争力では、ハイテクノロジー産業貿易収支比が主要国中第6位、ミディアムハイテクノロジー産業貿易収支比が主要国中第1位となっており、これらの順位は前年の科学技術指標2024と同じ水準を保持している。
調査構成と特別分析 報告書は「研究開発費」「研究開発人材」「高等教育と科学技術人材」「研究開発のアウトプット」「科学技術とイノベーション」の5つのカテゴリーで構成され、NISTEP独自の調査分析結果（論文・特許）の最新値を掲載している。特に注目すべきは6つの特別コラムで、企業の売上高に占める研究開発費の日米比較、研究消耗品における価格上昇の分析、日米中の関係に着目したハイテクノロジー産業貿易の分析など、現在の科学技術・イノベーション政策の動向を反映した詳細な分析が行われている。本指標は毎年公表される継続調査として、日本の科学技術政策立案の重要な基礎資料としての役割を果たしている。