財務総合政策研究所の最新発表によると、宮本弘曉氏による講演「日本経済をどう再浮上させるか」において、日本経済の長期的凋落と再浮上の可能性について包括的な分析が示された。講演では、「40年周期説」を紹介し、日本が幕末(1865年)、太平洋戦争敗戦(1945年)に続き、2025年に「底」を迎える可能性を提示した。現在の日本経済は「3低1高の日本病」(低成長、低物価、低賃金、高債務)に特徴づけられる長期的凋落傾向にある。
具体的な指標として、1人あたり名目GDPの世界ランキングは1990年代前半の上位から現在は30位台まで低下し、IMD世界競争力ランキングでも同様の凋落が見られる。賃金面では、1997年を100とした場合、他のG7諸国が140-150程度まで上昇している中、日本だけが横ばいで推移している。所得分布では「共同貧困」と呼ばれる現象が生じ、全所得階層で所得が減少、平均所得は1998年の665万円から2018年には552万円まで低下した。さらに、一般政府の債務残高はGDP比で260%を超え、世界最高水準となっている。
一方で、「経済の潮目」が変わりつつある兆候も見られる。デフレからインフレへの転換、株価上昇、企業収益・投資が過去最高を記録するなど、ポジティブな変化も起きている。財務総合政策研究所は、2025年が日本経済の転換点となる可能性を示唆しつつ、構造的な問題への対処が再浮上の鍵となることを強調している。