ジェトロが2025年9月16日に発表した、インドの生命保険市場の急成長要因を政策・経済・技術面から統計データに基づいて分析したレポートについて解説したものです。
【市場規模の劇的拡大】
インドの生命保険の保険料収入総額は2023年に995億9,000万ドルに達し、2014年の393億7,000万ドルから約2.5倍の大幅な成長を遂げました。国営のライフ・インシュランス・コーポレーション・オブ・インディア(LIC)は570億9,000万ドル(2014年から約2倍)、民間生保会社25社は425億ドル(2014年から約4倍)となり、特に民間生保の成長が著しいことが明らかになっています。2000年の民間参入解禁により、現在は国営1社と民間25社の計26社が市場を構成しています。
【政策・経済・技術の複合要因】
市場急成長の背景には3つの主要因があります。第一に政策面では、IRDAIが2022年11月に「インシュランス・フォー・オール」を掲げ2047年までの全国民保険提供を目指し、外国直接投資の出資上限を2000年の26%から2021年の74%、2025年には100%まで段階的に引き上げました。第二に経済面では、インドの実質GDP成長率が近年6-9%で安定推移し、1人あたり国民所得が2014年の1,540ドルから2023年の2,580ドルへ約1.6倍に増加しています。第三に技術面では、2014年の「デジタル・インディア」計画によりオンライン加入手続きが普及し、インシュアテック業界の収益が2018年から5年で約12倍の7億5,000万ドルに達しました。
【日系企業の参入と将来展望】
大手日系生命保険会社も積極的に参入しており、第一生命は2007年9月にスター・ユニオン・第一ライフを設立、日本生命は2011年10月にリライアンス・ライフ・インシュアランスに出資しました。さらに第一生命は2025年6月、フランスのIT大手キャップジェミニとグローバル・ケイパビリティー・センター(GCC)設立の複数年契約を締結し、デジタル化への取り組みを強化しています。
記事は、インドの生命保険市場が政策・経済・技術の複合的要因により急成長を遂げ、2035年には中国に次ぐアジア第2位の規模になると予想されるとし、日系企業にとって重要な成長市場であることを強調しています。