ラオス政府と中国政府が2025年9月4日に調印した中国ラオス鉄道の国際旅客列車の出入国手続き簡素化制度「一地両検」協定について、その内容と期待される効果を詳しく解説したものです。
【一地両検制度の仕組み】
新制度により、ラオスから中国に向かう旅客はラオス側のボーテン駅で、ラオスの出国審査と中国の入国審査を同一施設内で受けることができます。逆に中国からラオスに向かう旅客は中国側のモーハン駅で両国の審査を受けられるようになります。これにより現行の「両地両検」方式と比較して、乗客の移動効率が大きく改善される見込みです。従来は国境の両駅で別々に手続きを行う必要があったため、旅客にとって大幅な利便性向上が期待されます。
【手続き時間の大幅短縮実現】
現行制度では、ラオスから中国に向かう旅客はボーテン駅で出国手続き後、鉄道で国境を越えてモーハン駅で下車し中国の入国審査を受ける必要がありました。2023年4月の運行開始当初には両駅での手続きに3時間を要し、ビエンチャン駅から昆明南駅までの所要時間は10時間30分でしたが、運行ダイヤ調整や審査レーン増設により2023年7月には約1時間短縮され9時間26分まで改善されています。今回の制度導入により、さらなる所要時間短縮が実現する予定です。
【利用者増と経済効果】
国際旅客列車による越境利用者数は、列車の増便などにより2025年1-8月に16万2,000人と前年同期比4.7％増となっています。ジェトロがラオス公共事業運輸省鉄道局に行ったヒアリング（9月10日）によると、今後は入国審査官や税関職員の相互配置などの調整を進め、早期の制度運用開始を目指すとしています。この制度導入は両国の経済、特に観光分野のさらなる活性化に寄与するとみられています。
記事は、中国ラオス鉄道における「一地両検」制度の導入により出入国手続きの効率化と所要時間短縮が実現し、両国間の人的交流活発化と観光・経済分野での更なる発展が期待されると評価しています。