急成長を遂げたインド生命保険市場(2)第一生命HDのインド戦略

ジェトロが2025年9月16日に発表した、第一生命ホールディングスのインド市場における事業戦略と、日本初の生命保険会社によるグローバル・ケイパビリティー・センター(GCC)設立について詳細に分析したレポートの第2弾です。

【インド進出の戦略的背景】

第一生命は2007年、初海外市場としてベトナム進出後、第2の成長市場としてインドを選択しました。選択理由は3つあり、第一に外資系生命保険会社参入解禁(2000年以降)によるインド保険市場の活性化、第二に若年層中心の人口構成、第三に経済成長に伴う国民所得向上です。特に1人当たりGDPが1,000ドルを超えると生命保険加入率が急速に伸びるという統計データがあり、インドの将来性を評価しました。2007年にインドの国有銀行2行(バンク・オブ・インディア、ユニオン・バンク・オブ・インディア)との3社間合弁契約を締結し、スター・ユニオン・第一ライフ(SUD)を設立しました。

【合弁契約締結の困難と成功要因】

合弁契約締結は困難を極め、銀行探しに1年以上を要し、契約交渉も難航しました。主な課題は銀行と生命保険会社の役割分担整理で、当時のインドでは銀行による生命保険運営がまだ少数派でした。転機となったのはチダンバラム財務相の訪日時で、当時の役員が接触し銀行の紹介を受けたことです。最終的な合意の決め手は、インド政府の後ろ盾と、インドで多くの成功実績を持つ地場大手法律事務所の契約交渉参入でした。2007年設立から約2年を経て2009年に本格営業を開始しました。

【業績拡大とGCC設立戦略】

SUDの保険料収入総額は2014年度の1億3,616万ドルから2023年度の8億614万ドルまで右肩上がりで成長しています。業績好調の要因は環境面では新型コロナ禍以降の保険需要高まりと中間所得者層の所得増、体制面では2021年度の営業体制方針刷新とデジタル活用による営業効率向上です。2025年6月には日本の生命保険会社として初めて、フランスのIT大手キャップジェミニとインドでGCC設立の複数年契約を締結しました。GCC設立地のハイデラバード(インド南部)はグローバル一流大学が多く、IT人材が豊富な地域です。

【人材確保と異文化対応戦略】

インドの優秀なIT人材確保のため、第一生命はインド工科大学(IIT)とプネ大学と提携し良好な関係を構築しています。IITでは日本人教授による学生向け講義実施や、IIT教授の第一生命訪問により日本企業の魅力を学生に紹介してもらう取り組みを行っています。プネ大学では日本語授業をサポートしています。GCC運営では言語より文化の違いが課題で、日本の細かい工程管理とインドのスピード重視の仕事の進め方の違いに対応するため、バイリンガル開発者の雇用や日本文化理解のあるインド人の採用スキームを検討しています。

記事は、第一生命のインド戦略が大学提携による人材確保やGCC活用など他社にない斬新な取り組みで構成され、日本の生命保険業界における海外展開の先進的モデルとして、少子高齢化による国内市場縮小を見据えた戦略的重要性を持つと評価しています。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。

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